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水の呪い25にしおりをはさみました!
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水の呪い25
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「なんだ、止めちまって良かったのか? 最後のチャンスだったかもしれないぞ?」
不敵に笑って見せた彼女に、しかし王はきょとんとしたような表情をして首を傾げて見せた。
「さて。私には貴公に危害を加える必要がなくなってしまったのだから、火霊の暴走を止めるのは当然のことだと思うのだが」
「あぁ? 水の守りがなくなったアタシは取るに足らないってか? こちとらまだまだヤれるし、寧ろこれでようやっと面倒なしがらみなしに楽しめるんだが?」
「何を言う。貴公の強さであれば、水の加護がなくとも十分脅威であろうよ。だが、“そちらに戦う理由がなくなった”以上、ここは互いに痛み分けということで手を打つべきではないだろうか。貴公とて、万全ではない私と手合せするのは不本意だろう?」
にこりと微笑んだ王に、女は顔を顰めた後、盛大に舌打ちをした。
「ったく、食えない野郎だ。まあ、そういうことにしておいてやるよ。実際、本気を出せないアンタと戦っても面白味に欠けるしな」
構えを解き、異形の腕を元の人と同じそれに戻して、がしがしと後頭を掻いた女に、王も剣を収める。そして王は、やれやれ疲れたと言って、どかりと地べたに腰を下ろした。
彼女が純粋な敵ではないということは、先の会話で彼女自身が教えてくれたことだ。いわば傭兵のような立場で、帝国側から依頼されて王の足止めを請け負ったのだろう。そして、わざわざそれを教えてきたことから、彼女自身、この戦闘に乗り気な訳ではないということが窺える。更に彼女は、備品を貸しだされている以上は依頼をこなす、と言った。裏を返せば、その備品がなくなれば依頼を反故にしても良いということだ。果たしてそれが傭兵として正しい姿かどうかは判らないが、少なくとも彼女はそう考えているのである。
つまり王は、現状に不満しかないから備品を壊してさっさとこの戦闘を白紙にしてしまえと、そう要求されていたのだ。そしてその意図をきちんと汲み取った王は、だからこそ彼女自身ではなく、呪具を破壊することに注力したのである。
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