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窮地11にしおりをはさみました!
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窮地11
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「はい、判ったならさっさと立って。そこにいると邪魔。あ、腰抜けて立てないとか言わないでね。そうだったら困ると思って、わざわざ手を貸してあげようとしてるんだから」
その物言いに、ヨアンを観察するようにじっと見ていた『グレイ』は大きく息を吐き出した。
この男が味方である保証はないが、今すぐに自分に危害を加える気がないのは事実のようだ。ならばこの場でわざわざ敵対する必要はないだろう。そう判断した『グレイ』は、眼帯で右目を覆い直してから、差し出された手をひっぱたいて返した。
「お気遣いくださりドーモ。だけどお生憎さま、腰が抜けた訳じゃねェから自分で立てる。そのガキの脚と男どもの首がトんだカラクリが判らねェ上に、テメェが得体の知れねェ何かを飼ってるみてェだから、身動きとれなかっただけだ」
「ふぅん。変なところで用心深いんだね。そんなこと気にするくらいなら、最初からこんな奴らについて行かなきゃ良かったのに。明らかに怪しいのにホイホイついて行くから呆れちゃったよ、俺」
やれやれという顔をしたヨアンに、『グレイ』が引き攣ったような笑みを浮かべる。
「最初から見ていたのならもっと早く助けに入れたと思うんですが、如何ですかねェ? 原理は知らねェが、脚だの首だの斬り落としたのはテメェなんだろ?」
「そんなこと言われても。俺はやばくなったら助けてあげてくれって依頼されただけだから、やばくならない限り助けないのは当然じゃない?」
あっけらかんと言った様子から察するに、ヨアンという青年にとっては、あの瞬間までは危機的な状況ではなかったという判定になるらしい。
そのことについて『グレイ』が更に詰め寄ろうとしたが、それを無視してヨアンは少女の方へ向かった。そして、地べたに転がって泣きじゃくっている彼女の前にしゃがんで、その顔を覗き込む。
「知ってること全部話して。そのためにあんただけ生かした。言ってる意味、判るよね?」
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