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ガチャ。
脱衣所の扉が開く音に、全員が振り返った。
そして次の瞬間、寺田さんの悲鳴がアパートに響き渡った。
「キャーーーーー!!!」
半裸の富永さんに驚いた寺田さんが、声の限りに叫んだのだ。
その悲鳴に驚いたのは富永さんで、思わずおよび腰になったせいで腰に巻いたバスタオルがひらりと落ちた。
「ギャァァァァ!!!」
男女ステレオ放送で響き渡る悲鳴に、おれは咄嗟に耳を塞いだ。
「ふ、服着てくださいッ!!」
寺田さんの叫びに、慌てて富永さんが脱衣所に引っ込んだ。
山野さんをチラリと見ると、静かに頭を抱えている。
・・・なんてタイミングなんだろう。
さっきの富永さんの話から考えると、富永さんは寺田さんのことが気になっている。
そして、間の悪いことに寺田さんが婦人警官で現れた。
富永さん・・・、ごめんなさい、しかもしっかり見てしまいました。
そして、ぶらんとしたソレは、寺田さんもバッチリ見ていると思う。
真っ赤になって、イヤイヤと首を振っているからだ。
「な、なんで?どうして?」
ごめんなさい。
おれにも分かりません。
「どどどどど、どうした?!」
そこに血相を変えた課長が飛び込んできた。
「あの、あの、とと富永さんが!」
「なに?!富永さん?!」
しどろもどろの寺田さんに、課長が叫んだ。
「富永さんがストーカーですか?!」
拳を握ってプルプル震えている課長は、紺の生地に白のストライプが入ったスーツにアロハシャツを着込んでいた。
「・・・課長、その服。」
おれの声に気付かない課長は、革靴を脱ぎ捨てて仁王立ちになった。
「富永さん!どこですか!!」
脱衣所でガタンと音がした。
「か、課長?!」
「そうです。」
脱衣所の富永さんの悲鳴に、課長がふんぞり返って肯定した。
どどどうしよう・・・。
なにから説明したらいいの?!
山野さんは床に沈み込んでいる。
おれは、何から誰に話したらいいのかパニックだ。
「課長!ちょっと待って、富永さんじゃないから!」
「甲斐さん、だってあれは富永さんでしょう?!」
寺田さんの茶々に、泣きそうになった。
「富永さんなんだけど、富永さんじゃないんです!」
「甲斐さん、分かんない!あれ富永さんだもんっ!」
そうなんだけど!
「だから違うんですって!寺田さんも警察官じゃないでしょ?」
「それ今関係あるの?!」
関係ないかもしれないけど、分かんない!
何から説明したらスッキリするか、もうもう分かんないんだもんっ
だってだって、絶対寺田さんのこと、
「だって好きなんだって絶対!」
「裸が?!」
真っ赤になった寺田さんが変な返しをして、更に課長がおかしくなった。
「ええ?!裸が好きってどういうことですか?!」
「もう課長は黙っててッ!」
上司に対して失礼極まりない制止をしたおれは、すぅっと息を吸った。
「富永さん!出てきてくださいッ!」
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