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18歳以上ですか?
08にしおりをはさみました!
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08
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ボクは慣れてしまっていた。
彼が呼べば、そこにいてくれることに。
彼がいつでも一緒にいることに。
いつも通り、いつの間にかに帰ってきていた高尾くん。
「ねぇ、テツヤ」
「っ!!……なんですか?」
「なーんてな☆赤司しか、テツヤって呼ばないよなー」
ベッドの上に座っていたのだが、気付くと隣に彼が体育座りをしていた。本当に心臓に悪い。ボクも反省しなくてはいけないな、と思う。
でも、急に耳元で名前を囁かれたんだから驚くのも無理はないと思う。しかも、いつになく真剣な声だった。(絶対に確信犯だ。)思わず、驚きに肩を跳ねさせてしまった。ボクがびくっとあからさまな反応をしたのが面白かったのか、 はたまた、それに満足したのか、にんまりと悪戯っぽく笑った。
肩が触れそうで触れない距離。
「オレも、それ読んだことあるわー」
「これですか?」
今読んでいるのは、今日の昼に図書室で借りてきた恋愛小説。居酒屋でケンカするところから始まる、仲が良いのか悪いのかよく分からない関係を続ける二人がくっつくまでの物語らしい。傍から見ると、どう見たって仲が良いのだが、本人達は「あんな奴は嫌いだ」と言っている。よくあるパターンだが、この二人の絡みがなかなか面白い。恋愛よりもコメディ要素の強い作品で軽め。今日中に読み終わってしまうだろう。
「あのねー、」
「ネタばれはダメです」
「ごめん、ごめん。でも、いっこだけ、言っていい?」
ボクが渋った顔をしたのを分かっていて、ね、ひとつだけだからさ、と手を合わせてきた。彼が全部、ばらすとは思えないので渋々ながらも了承する。
「はい」
「それね、大どんでん返しあるよ。まじ、号泣」
「まじですか?」
「まじでっす!」
半分、ネタばれのようなものだけど、先がすごく楽しみになった。
「ふふ、キミは相変わらずですね」
「何がー?」
「いえ、なんでもないです」
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