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18歳以上ですか?
12にしおりをはさみました!
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12
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日崎はスマホに疎い俺に、送られてきた地図の確認のしかたを教えてくれた。
「パソコンなら使えるんだけどなー…」
その言い訳は、さっき別れた日崎にはもう届かないけど。
「真斗どこ行くの?ギターなんか背負って」
「え、えぇと、友達?と公園行く」
果たして日崎を友達と言っていいのか。いや、一緒にごはん食べて一緒に帰ってるんだから友達…なのか。
「へえ、真斗の口から友達なんて聞くのいつぶりかしら」
「…行ってきます」
実の息子をなんだと思ってるんだ。…でも言い返せないのが悔しい。
「行ってらっしゃい。お友達大切にしなさいよ」
はいはい。一回軽くうなずいてドアを開けた。
待ち合わせは5時。現在時刻は4時半。
「やば。わくわくしすぎだろ、俺」
遊具はブランコしかないこの寂れた公園でどうやって30分過ごせというのか。
ベンチすらないので、仕方なくブランコに座ってギターを取り出した。
なんか売れないシンガーソングライターのジャケ写みたいだな。
実際弾いてるのは売れないバンドの曲だけど。
鼻唄を歌いながらギターをかき鳴らしていると、
「愛してるぜ、お前らああ!」
後ろからMCが入ってきた。見覚えのあるようなないような二人を引き連れて。
「ごめん、待った?」
「いや、今来たとこ」
ラストまできっちり演奏しといてそれはないだろ、と思うけど、放課後だれかと遊ぶことにわくわくしてたなんて言えないし。
「なあ柊、いい加減イヤホン外していい?」
「マシュモン好きになってくれたなら」
「あー、うんうん大好き」
どちら…様?日崎の友達なんだろうけど…。
よく聞くと、イヤホンから音もれしてマシュモンの曲が聞こえてきた。
もしかして──
「北田に紹介する。メンバーになってくれた2人で、こっちがドラムの前川で、こっちがベースの橋元」
やっぱり!
高身長で鍛えてて、いかにも遊んでそうな方が前川で、茶髪ロン毛で、こちらもいかにも遊んでそうなのが橋元、らしい。
2人はどうもー、と軽く頭を下げた。俺も慌ててお辞儀をする。
隣のクラス──とかだっけ。
「まあ、前川と橋元はバイトとかいろいろ忙しいし、日曜しか来れないらしいけど。
楽器の腕はオレが保証する」
わかった、よろしく。とだけしか言葉が浮かばなかった。
週一ぐらいが俺にとってもちょうどいいかも。
「じゃ、俺バイトだから帰るわ」
「俺もー」
また明日、ん、と短い言葉のやり取りをして、2人は去っていった。
「北田、さっきの続きやって?」
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