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9にしおりをはさみました!
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9
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12月。
倫太郎と呼ぶのにも慣れて、彼の珍妙な服装もなんとかやり過ごせるようになってきた。寒い寒いと駆け込んできた倫太郎は、急ぎヒーターの前を占拠せしめた。
「やばい、雪降ってる。雪だるま作れる。やばい」
「よかったね」
「よくないよ、何言ってんの。もっとちゃんとおれのこと考えてよ」
「………………」
「そーゆーとこあるよ礼介くん。以後気を付けるように」
「すみません」
「宜しい」
「ココア飲む?」
「えー、飲むー。やったー。わーい」
彼の目まぐるしく変わる喜怒哀楽に付き合いながら、八割がた理解出来ない話を聞いて、無為な時間を過ごす。
そうして、簡単に時間は流れていく。
こんな気持ちになりたくなかったと、思う時点でもう遅い。
「礼介くん、お正月どうしてんの」
「特に何もしないよ」
「そうなの?」
「倫太郎は本家だから大変だろうね」
「そうね。楽しいけどね。疲れるけどね」
「今年会うのは今日が最後かな」
「…………」
ココアを飲んでいた彼は、カップをテーブルに置いて僕を見た。
「なんかまた隠してる?」
「僕が?」
「うーん……………違うならいいけど」
来年こそは礼介くんお外に連れ出さなきゃなあ。そう言って、彼は伸びをする。
「外に出るつもりは更々ないよ」
「出ましょうよ。メタボるよ。ムカつくぐらい太んないよね。なんで?」
「シヅさんのおかげかな」
「あるー」
「………………外には出ない」
「出ろよー」
「君と会えなくなる」
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