アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
1.平凡な世界⑹にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
1.平凡な世界⑹
-
「…雑用?」
そそくさとぶちまけたプリントを元の状態に纏めていると、こちらをじーっと見ている目と目が合った。
「うん。明日使うから纏めろって」
だから早くこここら出てってもらえると助かる。
そう思ったんだけど。
「…手伝おうか?」
彼はそう言って手を伸ばしてきた。
「…いや、いいよ」
「こうゆう時は助け合うんだよ」
僕が断ると彼は勝手に半分くらい取って、机の上にあったホチキスでプリントを留め始めた。
……変な人。
「…ごめん」
素直に手伝わせてしまったことに申し訳ないと思い気付いたら声に出していた。
その言葉を彼は聞くと「?」という顔で首を傾げた。
「だって君の仕事じゃないだろ。
だから手伝わせてごめん」
僕だったら早く帰りたいのにフザケンナって思う。
正直今だってそう思ってるし。
こんな初対面のやつに手伝わされるなんて僕なら嫌だ。
「…いいんだよ、俺がやりたくてやってんだから」
「これやりたいの君?」
「いや、そうゆう訳じゃないけど」
じゃあ、どうゆう訳なんだ。
何だか締まりが悪い口調で聞き取りにくい。
「とにかく今暇だし別に嫌じゃないしいいんだよ。
それとな、こうゆう時はごめんじゃなくて、ありがとうって言うんだよ。」
「…ありがとう?」
「おい、疑問形」
…注文が多い。
言葉なんて、最低限のことが伝わればそれでいい。
それだけでいいのに。
「…ありがとう」
どうして素直に答えてしまうんだ。
すんなり出た言葉に満足したのか彼は笑った。
笑うと彼の綺麗な髪も揺れる。
さっき換気のために開けた窓から光が漏れて彼の髪に日差しが当たりキラキラ光る。
それがとても綺麗だなと僕は素直にそう思った。
この平凡な世界に彼が訪れ、僕の人生を変えることになる事になるのはもう少し先の話───
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 12