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62にしおりをはさみました!
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とにかく先輩達のいた雑貨店から離れたくて、そのまま来た道を戻るように走った。
「ハアハア…」
(…苦しい……)
運動神経ゼロな上に体力もない僕はすぐに呼吸が荒くなったが、さっき見た光景から逃れるように無理やりに走り続けた。
駅前から二つ目のバス停まで引き返した辺りで限界になり、立ち止まって膝に手をつきながら少しだけ呼吸を整えた。
それでもまだ荒い呼吸のまま顔を上げた時、後ろから「静!!」と僕を呼ぶ声がした。
(会長……?)
まだ思考が覚つかないまま後ろを向くと、もうすぐそこまで来ていた会長が僕の目の前まで走って来た。
「静、何かあったのか!?……車からお前が走ってるのが見えたから…追って来た。」
何でここに会長が居るのだろうと疑問に思う暇もなく、勢い良く会長が言葉を発した。
「何も…ありません。」
僕はそう言って少し顔を俯けた。
「お前…そんな顔して何もないわけないだろ……!」
会長は僕の両腕をグッと掴みながら言った。
(そんな顔…?)
僕は自分が今どんな顔をしているのか分からなかった。
そんなに酷い顔をしているのだろうか。
「走りたくなって走ったら…疲れただけです。」
「そんな適当な言い訳が通用するか。」
「…本当に大丈夫ですから……。」
ただ僕が勝手に藤枝先輩のあの笑顔が自分以外に…副会長に向けられたのを見て、ショックを受けているだけなのだから。
会長も気にせずに行って欲しいと思った。
俯いたままの僕に会長は、ったく、と言って僕の手を掴んでぐいっと引いた。
「とりあえず車の中に行くぞ。」
会長はそのまま僕の手を引いて歩きだした。
「お前やっぱ俺ん家に来い。一回寮に戻るから準備しろ。」
いいな?と少し振り向き言う会長に僕は頷かなかった。
会長はそれを気にしない様子でまた前を向いて歩いた。
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