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34 高橋sideにしおりをはさみました!
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34 高橋side
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高橋side
そろそろ寝ようかと言われて二人で布団を用意した
ソファで寝るだとかベッドで寝るとかそういう言い争いみたいなの、西田とよくやってたけどどうやら桜井さんは敷き布団らしい
「体痛くないんですか?」
「ずっと寝てたらさすがに痛いけど常にじゃないから大丈夫だよ。それにちゃんとベッドもあるしね。でも泊まりのときはなかなか決まらないから全員敷き布団の方がいいかなって。三つあるからみんなで泊まれるよ」
「坂崎はベッドですかね。怪我もまだ完治じゃないと思いますし」
そうだね、と枕を置いて布団に入ればすぐ桜井さんはこっちを向いた
「坂崎君、起きてよかったね」
「…はい。本当に、良かったです」
目が覚めたからもう大丈夫だと思うけど今度からはもっと自分のこと決めてから接した方がいい気がする
こんなに少し話すだけで坂崎はいろいろわかる
そっちの方がすごい人だと思うんだけどな
「え、ちょ、桜井さんっ」
ぐいっとまた引っ張られて桜井さんの腕の中に収まってしまった
大人の人とこんなことしないから恥ずかしい
家族じゃないから尚更初めてで慣れないのにいつもそうだ
「いいから、暴れないでよ」
「…完全に子供扱いじゃないですか」
くぐもった声になって疲れたから暴れるのはやめた
「いいじゃない、まだ子供だし」
ふふ、と笑われてじと目で見つめれば可愛いねと撫でられる
「これでも子供は素直に甘えるんだよ。坂崎君と高橋君は少し特殊だけどね」
ふっとその手をかわしても俺の頭を探してはまた撫でるの繰り返し
「甘えるとか、そんなの…出来るわけないじゃないですか」
恥ずかしいですと言えばまあそうだよねと笑う
「親だったら高橋君も甘えてる?」
「いえ、俺の両親は海外で働いてるので滅多に会えないですし、会ってもそういうこと出来る関係じゃないので」
両親のこと考えてもあまり浮かばない
中学入学と共に行ってしまったからもう三年くらい会ってないことになる
「だったら余計に俺達に甘えなよ。一人は大変だし、重いし、苦しくて辛くてどうしようもなくなるからさ」
坂崎も、そうなのかな
親…いないし甘えられる人って、先生だけってことだよね
「俺より坂崎を…お願いします」
そう、本当の目的を忘れちゃいけない。俺が弱ってたらいけない
迷ってるのがすぐバレたくらいだから…もっと強くならないと
「…いきなり全部吐き出せって言っても無理か」
さっきまでずっと抱きしめられてて急に離れるとなぜか、桜井さんが離れていくような感覚になって思わずどこかの服を掴んだ
「ん? どうしたの?」
「っ、なんでも…ないです」
本当にただ離れていくのが嫌だっただけなのに目が熱くて、涙が出た
「…み、見ないで…ください…すぐ、止まるので」
鼻をすすったのが聞こえたらしく、目が合った
「やっと泣いてくれた」
「…え」
そんな、まるで泣くことを待ってたみたいな
「本当はずっと前から泣きたかったはずだよ。だけど涙が出ないまま泣いてるみたいに見えたから、少し心配だったんだ」
「……そんな、こと」
ぐっとまた引き寄せられる
これ以上は桜井さんの服が濡れると思って顔だけでもと少し離す
「いいんだよ」
「…っ」
やめて、そんな…優しい声で
「もう、自分の為に泣いていいんだよ」
「や、めて…お願いだから」
止まらなくなる
ぽろぽろと堪えきれなくて落ちていく涙に、ぐっと拳を握るけど…ダメだった
今までのことが一気に蘇ってきて…坂崎が血まみれなまま倒れていて死んじゃうんじゃないかって本気で思った
助けたかったのに、勉強の為の部活なんて行かなきゃ良かったってずっとずっと後悔してたんだ
そしたら、坂崎はこんなことしなかったかもしれない…止められたかもしれない
「…っく、どう、して…」
目が覚めて嬉しかったのに死にたかった、そう言われて耳を塞いだ
何を考えたらいいのかすらわからなくて、首を振る
…明日、明日になったらちゃんと考えるから今だけは…少しだけ、整理させて
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