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ナニカ(オカルト要素強)にしおりをはさみました!
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ナニカ(オカルト要素強)
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その日、ナオが本当にみーちゃんを大切にしている事を知った。
てっきり、下心見え見えの旅行の提案だと思い込んで居たが、ナオは当たり前の様にみーちゃんと別々の部屋で寝ることを申し出た。
まあ、俺たちに気を遣っただけかも知れないが、そこは、俺が思う以上に奴が誠実だったのだと思うことにする。
みーちゃんには俺の部屋を使ってもらい、男組は、リビングに面した和室に布団を敷いて寝た。
近頃、都雪くんと肌を寄せながら寝ていたため、腕の中が些か寂しい気がした。
まだ日付が変わる前ではあったが、ナオは早々に鼾をかいている。
本当に子供みたいな奴だ。なんて思っていると、
「お兄ちゃん…」
薄暗闇に溶け込む様な声が聞こえた。
寝言かもと思い、答えずにいると、
「本当にありがとう…」
と、更に消え入りそうな声が聞こえてきた。
それを聞いて、本当に都雪くんと過ごせるのは、あと僅かなんだな…と思う。
出会ってからだって、そんなに時間は経っていない。
それでも、こんなにも離れたくないと思うのは何故だろう。
胸が締め付けられる様な気がして、都雪くんの方へ寝返りを打った瞬間、もう一つ声が聞こえた。
「シーゲー」
俺の名前を呼ぶ声。
明らかにナオの声だった。
だが、ナオは俺の隣で鼾をかいている。
今度こそ寝言かと思おうとしたが、それは、隣から聞こえた声でなかったのは明白だった。
「シーゲーくーん!あそぼー!」
この旅行を決めた時、ナオが祖父母の家の前でふざけて言った言葉とトーンそのままに、もう一度聞こえる。
外だ。
外から聞こえている。
でも、ナオは横に居る。
方向からすれば、玄関の方だ。
外にナニカが居る。
俺は目を見開き、浅くなる呼吸を必死に殺して布団を掴んだ。
額に汗が滲む。
「シーゲー」
声は定間隔で響く。
怖い。
緩めると歯がなりそうで、夢中で奥歯を噛んだ。
暗闇に徐々に慣れてきた目を閉じる事も出来ずにいると、都雪くんもこちらを向き目を見開いて居るのがわかった。
縋る様にその身体を引き寄せる。
俺の腕の中に収まった都雪くんは、小さく震え、身体は冷え切って居るのに、全身にじっとり汗をかいていた。
それは俺も同じで、息を吐けば、白く濁るのではと錯覚するくらいの寒気を覚えていた。
「シーゲー」
「シーゲーくーん、あそぼー」
なんで俺?
なんで俺の名前?
なんでナオの声?
頭の中をぐるぐるとなんでが回る。
どのくらい、その恐怖と戦っていただろう。
声に紛れて、足音が聞こえてきた。
これは部屋の中からだった。
ああ、もうダメだ!!
とキツく目を閉じて、都雪くんを抱く手にも力を込める。
次の瞬間。
「ここにはそんな奴いない!帰れ!!」
凛とした声が、家中に響き渡った。
俺も都雪くんも同時に肩をビクリと揺らす。
その後に、耳を突く様な静寂が訪れたが、それでも息を殺す事はやめなかった。
声はもう聞こえなくなった。
恐らく、数分も経ってないが、俺にとっては異様に長い時間が過ぎた頃、
「シゲくん?都雪くん?大丈夫?」
と言う、柔らかな声が襖越しにかかった。
そこで、やっと、あの凛とした声がみーちゃんの物だったのだと気付く。
すぐに声を出すことはできなかったが、腕の力を緩め、恐る恐る身体を起こすと、あまりに強く抱き締めていたのか都雪くんが軽く咳き込んだ。
「大丈夫なら、いいんだ…」
襖の向こうで、みーちゃんが踵を返すのを感じる。
俺は咄嗟に「待って!」と、みーちゃんを引き止めていた。
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