アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
旅の終わりにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
旅の終わり
-
結局、俺たちは陽が高くなるまで起きていた。
あの現象はやっぱり怖かったけど、時間が経つにつれて、どうでもいいことの様にも思えてきた。
そのせいでひどい眠気が襲って来てはいたが、ナオが起きる前になんとしてでも布団を干さなくてはいけないと言う使命がある。
みーちゃんが二階に行ってしまってから、洗濯機を回し、都雪くんと身を寄せながらうとうととしていた。
それにしても、あんなに騒がしかったのに、ナオはよく起きないな…
余程、神経が図太いのだろう。
と思った時に、みーちゃんの「大丈夫」といった言葉が、ふと蘇る。
さっきは意味がわからなかったけど、みーちゃんに置き換えると、何故かしっくりいった。
みーちゃんも、きっとナオだから、大丈夫なのだろう。
ナオは自分が見た物しか信じない。
矛盾している様だが、殆どの事を疑わない。
見える物を見えるままに信じるからいいんだと思う。
みーちゃんはナオに言わないでと言ったが、例え言ったとしても、みーちゃんがそう言うのならそうなのだろうと、対して気に留めないのじゃないかとも思う。
俺は、ナオとは全然違うけれど、むしろ本質はナオと真逆だから、必ずしもみーちゃんとナオの様な関係とは言えないのだが…
馬が合うと言うか、性質が合致するとでも言うのか、とにかく上手く言えないが、なんとなくしっくりきてしまったのだ。
あれから俺にべったりな都雪くんの頭を撫でながら、それならば、ずっと一緒にいられたらいいのに…と思った。
すっかり船を漕ぎ始めた都雪くんに「寝てもいいよ」と言うと、
「お兄ちゃんと…一緒に居たいよ……」
と、眠さからか凄く甘えた声で言われた。
俺もだよ…とは口にせず、その身体をギュッと抱き寄せる。
どんなに思っても、高校生の俺には何も出来ない——
結局、その後、俺は眠ってしまったらしい。
ナオに頬を軽く叩かれて目を覚ました。
時刻は午前9時だった。
みーちゃんも起きていて、既に着替えも済ませていた。
何時に寝たのか定かではないが、疲れた顔一つしていないなんて、尊敬すら覚える。
俺はと言うと、無理矢理起きたが、頭はぼんやりする。
「お前が煩くて眠れなかった」
と、言ってやった。
まあ、嘘ではない。
仕返しに嫌味の一つも返って来なかったのだから、幸い漏らしたことは気付いていないのだろう。
俺は、一度布団を干すから、みーちゃんと海岸でも散歩して来ればと提案すると、ナオは渋ったが、みーちゃんが気を遣ってナオを連れ出してくれた。
ナオは都雪くんも誘ったが、都雪くんは
「お兄ちゃんと一緒にいたい…」
と半ば寝ぼけながら言ったので、ドキッとしたが、そこもみーちゃんが
「私達に気を遣ってくれてんだよ」
とフォローしてくれて助かった。
布団を干し終わると、俺は和室に倒れこんだ。
都雪くんも横に寝転がる。
もちろんそのまま、眠りにつく。
そんな調子で俺たちの旅行(俺にとっては違うけど)は、まったりとダラダラと過ぎて行った。
特に何かをするわけでもなく、だからと言って、何かをしておけばよかったと後悔することもなく、俺たちは解散した。
急な来訪者があったのは、一日目の夜だけで、それ以降は特別、恐ろしい事もなかった。
みーちゃんと話したことによって、都雪くんは安心したのか、帰り道も行きと比べて大分落ち着いていたようだ。
それが単なる乗り物酔いか、人酔いかはわからないが、相変わらず人の多い乗り物なんかに乗ると、青い顔をした。
やはり、何人かに大丈夫ですか?と声をかけながら、やっとの思いで祖父母宅へ着くと、実家に帰った時よりも、ホッとした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 42