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71にしおりをはさみました!
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71
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「初めから大人しくしていれば、私だって手荒な真似はしなかったのに。痛むかな?...ああ、泣き顔もそそるものがある」
「............」
もう、何にも考えたくない。何を言われても、何をされても、ただ気持ちが悪くて辛い。人形のみたいに仰向けに寝そべり、されるがままで脚を開いていた。
「..............っ、」
ズリっと田邊の指が後孔から抜かれ、ついにかと何処か冷静な頭が次を予測してて、顔を背けて眼を閉じた。心が空っぽで脱け殻みたいなのに、何でか涙だけは枯れない。
「 凪っ!!! 」
恭司の声が聞こえたけど、幻聴なんじゃないかって思った。聞こえた音の方向に目を向けたけど、視界が歪んでいて色の認識しか出来なかった。
恭司は隆雄と共にスペアキーで入り、ベッドルームへ直行した。考えたくは無いが凪が居るならきっと其処だろうと踏んだからだ。
入って目に映った光景に目眩を覚えるも、咄嗟にその名を呼ぶ。
ベッドに裸で組み敷かれている凪のその顔は涙でグチャグチャで、左の頬が腫れていて唇も切れている。
両手を縛られたその姿を見て動けなくなる。どうする事が正解なのかを何故か頭が弾き出さない。
「......ふっ、...きょ...じ...さ...ッ、」
悲痛な顔で泣きながら呼ぶ凪の下へと無意識に近寄ろうとしたが、隆雄に手の動きだけで制された。
「お客様、当ホテルにおかれましては、この様な犯罪行為は黙認致しかねます。速やかに御退室願いたいのですが、」
隆雄が冷静に退室を促すと、「犯罪だと!?違う、これは同意の上だ!!」と田邊が憤怒する。
「お言葉ですが、見た所とてもその様には。今、御退室頂けるのでしたら、当ホテルの方で内々に処理致しますので、大事になる前にお引き取りになられた方が賢明かと存じます。」
「なっ!?違う!これは取引したんだ!!商談成立の代わりに一晩相原くんを自由にする、これはビジネスだ!!」
憤怒し、べらべらと内情を漏らす田邊を見て、恭司は隆雄の意図が漸くみえた。何時もなら、何時もの自分なら使っている手だ。とうやら私は今とても冷静じゃあないらしい。
隆雄が恭司を見やる。その顔に、どうする?と書いてあり、頷くだけで隆雄に任せると伝えた。
「...お客様、僭越ながら申し述べさせて頂きますが、それはビジネスでは無く売春行為で立派な犯罪です。現に、此方の高嶺様は何もご存知ではなかった様ですが、」
「 ─ !? 」
隆雄の言葉に驚き恭司を見た凪は、目が合うと途端に嗚咽を上げて泣き出した。
恭司さんの指示じゃ無かったっっ、
状況はどう考えても絶望的なのに、それでも、恭司が自分を取引の材料にしたんじゃないと分かり、その事が凪には物凄く嬉しかった。
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