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送りオオカミにしおりをはさみました!
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送りオオカミ
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「木下。」
顔を覗かせると個室では女の子は女の子で喋り、木下とその他男性はなにかきっかけを作ろうとあせあせしていた。
「あ、どうした?」
幸希は女の子に見えないようにドアに身体を隠し、顔だけ覗かせた。
「知り合いが酔っ払ってたから、これ送ってくるわ。」
「え〜〜雨宮さん帰っちゃうの〜?」
身を寄せて喋っていた女の子達が顔を上げた。
「うん…ごめんね。木下たちとあとは楽しんで。」
「えっ〜〜じゃあアドレス…」
「ごめん、タクシー待たせてるから、また今度ね!いてっ!」
幸希は頭をドアにぶつけながら、その場をそそくさと離れた。
「しゅ、しゅみません…」
「…いいんだよ。おっと!」
自分よりも背が高く、体重もある為、幸希はなだれるように一緒にベッドに倒れこんだ。
幸希は肩から腕をはずし、ベッドから下りた。
「楷くん、楷くんが一緒に来てた人に連絡とらなきゃいけないから、携帯貸して。」
仰向けに唸る楷の頬をパチパチとたたいた。
「…いいんっす…今日、知り合った奴らばかりですから…LINE交換もしてないし…」
「…」
いつも人に囲まれて、沢山の仲間と楽しい時間を共有したいと言ってた楷が、やけっぱちのように呟いた。
「…誰か連絡とろうか?」
とはいえ共通で知っているのは勝谷だけだ。
「勝谷くん…とか?」
気まずさを隠しながら、幸希は尋ねた。
「勝谷か…」
楷は片手で顔を覆い、重々しく息を吐いた。
「いえ…いいです。。」
幸希は内心ホッとしたが、様子のおかしい楷を1人にするのも心配だった。
「水、取ってくるよ。」
「雨宮さん。」
立ち上がった幸希に楷は仰向けのまま呼び止めた。
「何?」
「今日、合コンだったんです。あんま仲良くない奴に他の大学の子紹介してもらったんですけど…ダメでした!」
「そう…」
幸希は再びベッドに近づき、脇に腰をかけた。
「タイプの子がいなかった?」
「…違うんです。俺が悪いんです。」
楷は両手で顔を覆った。
「楷くん…?」
「俺がまだ引きずっていたから…」
楷のその一言で幸希は「あぁっ」っと思い、布団の上から楷の足に手を置いた。
楷は真っ赤な目をして、鼻をすすった。
「大学に入った時なら好きだった子を勝谷に取られたんです。」
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