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18歳以上ですか?
86にしおりをはさみました!
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86
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ーーー誰を、信じたら……。
須賀の手から逃れる為に、頼った相手に更に手酷い仕打ちを受けない保証も無い。
『本当に?』
少し不自然だったのだろう。訝しむような彼の声が前から聞こえて来た所で、本当にこれで良かったのかと迷いが心を支配したけれど、結局何も言えなくなって叶多は小さく頷いた。
***
「遅かったな。時間稼ぎか?」
そんなつもりは無かったけれど、考えに耽っている内少し長くなってしまった。
風呂を上がった時には既に日付を跨いでしまったが、須賀は変わらずソファーに座り映画を観ている様子だった。
「来い」
短く命令して来る声から苛立っているのが分かる。
竦んでしまいそうな脚をどうにか動かし前まで行くと、床に座れと指示されたから叶多はおずおず膝をついた。
毛足の長いグレイの絨毯が敷いてあるから硬くは無いが、服従させられている実感は更に色濃い物となる。
「口、開けろ」
「……え?」
「聞こえなかったか?」
「い、いえ」
更に低くなった声音に叶多が慌てて口を開くと
「聞こえてるんじゃないか」
と須賀が馬鹿にしたような笑みを浮かべ、酷薄そうなその表情にギリギリと胃が痛みを覚えた。
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