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3にしおりをはさみました!
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「気持ち良かったみたいっすね」
今まで聞いたことのないくらい優しい声が、鼻と鼻が触れてしまいそうな距離で額をコツンと当てながら聞いてくる。
目尻に浮かんだ涙を左手で掬い取られ、ハッと我に返った。
「ご、ごごごゴメン影や……んむっ」
慌てて謝罪しようとした声は、再び綺麗な彼の手によって塞がれてしまった。
「大きな声出すと気付かれますって」
「!」
そーだった。東峰達の存在を一瞬忘れてしまっていた。
「今、誰かしゃべりませんでした?」
「ええっ、誰か気付いて……?」
二人の世界に浸っていた背後の二人が、キョロキョロと辺りを見回す気配がする。
コレは絶対にマズイ。と、影山にしがみついた体勢のままギュッと目を瞑り寝たふりを決め込んだ。
心臓が今までにないくらい早鐘を打って、息苦しい。
よく考えて見れば、元はと言えば彼らが全ての元凶なのだから、「ヤるならせめて場所を選べよな」と、笑いながら一言言ってやればいいだけの話だ。
けれど、後ろめたい気持ちの方が勝っていてとてもじゃ無いが言い出す勇気はない。
「誰も起きてきてないみたいだぞ」
「いや……でも確かにさっき何か聞こえて……」
ぐるりと周囲を見回していた西谷の視線が自分に止まったような気がした。
「ねぇ、旭さん……菅原さん、影山と抱き合って寝てる」
「えっ!? あー、本当だ」
顔を覗き込まれ、体温がぶわっと上昇していく。これ以上突っ込まれたら恥ずかしすぎて死んでしまいそうだ。
身動きの取れないこの状況は拷問以外の何者でもない。
息をするのも億劫になるほどの長い時間二人に見つめられ、全身から嫌な汗がドッと噴き出してくる。
ひたすら念仏か何かのように、早く行け、気付くなと心の中で繰り返し時が過ぎるのを待った。
「――菅原さん」
どのくらい時間がたっただろうか?
不意に頭上から声を掛けられ、瞑っていた瞳をそっと開いてみた。
「あの二人なら何処かへ行きましたよ」
「そっか……よかった」
ホッとして、全身の力が抜けた。
「ゴメンな。なんか……」
「いえ。スゲー貴重な体験させてもらったし俺得でした」
「!」
何処か嬉しそうに言う影山の言葉にピキッと固まる。
忘れていたわけではないが、影山との恥ずかしすぎるあれやこれやが蘇りカァッと頬が熱くなった。
そんな菅原の頭を左手がそっと撫で、手を洗って来ます。と言い残して影山が部屋を出ていく。
「影山の手……うわーオレのバカぁ」
暫くは影山の手を見て思い出してしまうかもしれない。
こんな事になったのも全ては東峰のせい――。
(くっそーっ! 明日は旭にトス上げてやんねー!!)
火照った顔を上掛けで覆い、菅原はひっそりとそう誓った。
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