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必死な勧誘
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教室に帰ると、まだ衛はいなくて、始業2分前に走って教室に帰ってきた。
衛は忙しそうだ。
そして、授業が全て終わった後、衛は申し訳なさそうに、また用事があると言って、どこかへ行ってしまった。
好都合だけど、少し気になる。衛は、何をそんなに忙しそうにしているのだろうか。
足が重いとは、まさにこのことだ。
比喩だとわかっているが、本当に足が重いように感じる。
生徒会室の前に来るものの、ノックをするのを躊躇した。
あー、帰ってしまおうかな……
でも、本当に寮まで来られたら……嫌だ。絶対、嫌だ。
でもな……
ガチャッ
ドンッ
生徒会室のドアが開いた。
そして、俺の顔というかおデコに当たる。
もうあまりの痛さに、おデコを押さえて、その場にしゃがみ込む。
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
「えー。志真くん。なんで、そこに座ってんの?邪魔だよ?」
あー、この口の悪さと、声が低い方は、兄先輩だ。
邪魔ってなんだよ。この人、本当に口悪いな。
おデコは撫でても撫でても痛い。
ジンジンする。これ、きっとたんこぶ出来るやつだ。
はぁ、まさかこんなドジを踏むなんて、俺も落ちたもんだな。
「あれー?シマたんちゃんと来たじゃん。さーちゃんと俺で今、迎えに行こうと思ったのにー。」
ああ、俺をシマたんと呼ぶのは、三池先輩しかいない。いないのは、わかってるんだけど、立ち上がって顔を上げられない。
だって、あまりに痛かったものだから、生理的な涙が出ている。
あー、少し待って。痛くなくなったら、顔上げるから。
「シマたーん?大丈夫?ほらー立ってー。」
いや、三池先輩、俺の腕掴まないで。そして、俺を立ち上がらせようとしないで。
三池先輩、柔道部だっけ?力強い。
三池先輩の力で、無理矢理立たされた俺は、下を向いたままであった。
もう涙は出てないけど、おデコがまだ痛いからだ。
後ろから、三池先輩が押して、俺を生徒会室に入れる。後ろでドアが閉まる音がした。
顔を上げると、真ん中のテーブルの偉そうな椅子に座った会長が、俺を見てきた。
「逃げずに来たな。」
いちいち。いちいちだ。やることがいちいち偉そう。
周りを見ると、昼休みに来た時に冷静に見れなかった生徒会室の中身がよく見れた。
まず、真ん中にテーブル7個ある。
真ん中奥の1つだけ他のテーブルと違う方向を向いているテーブルは、どうやら会長のテーブルらしく、偉そうな椅子がある。
そして、右の手前にソファーとローテーブルがあって、昼休みはそこに招かれた。
あの、ソファー、フカフカだったな。
そして、相変わらず生徒会役員さまたちは、全員集合だった。
「あーあ、俺、志真くんの教室にいって、からかってやろうと思ったのに。」
残念そうに笑う、兄先輩。
この人、楽しんでるな。
「まあ、座ってください。翼も、そういうこと言わないで。」
なんか、副会長、お母さんみたい。女神だ。
俺にとっちゃ、この中で一番マシに見える。
長髪のこと第一印象でイジってごめんなさい。
俺は、招かれるままに、ソファーに座った。
相変わらず、フカフカでお尻が沈み込む。
会長が、向かいのソファーに座る。
「さっそく、本題に入るぞ。俺らがなんで、お前に生徒会に入って欲しいか、だよな。順を追って説明する。よく聞けよ。まずは、庶務のミケが3年生ってことだ。」
今はどうでもいいことなんだけど、三池先輩って周りの生徒会メンバーに、タメ口で喋りかけられてるし、呼び方も『ミケ』だよな。
「3年生は、基本、夏以降は部活動及び委員会活動が出来なくなる。これは、生徒会も同様だ。そのため、ミケの後釜ってことで、生徒会に1人補充が必要ってわけだ。」
「おれ自体は、推薦で大学に行く予定だから、そこまで大変なことはないんだけどさー。夏以降は公の仕事出来なくなっちゃうのよー。」
なるほど。
生徒会に1人必要っていうのは、よくわかった。
だけど、それは6月とかに選挙で決めたりして、俺じゃなくてもいいんじゃないだろうか。
「そして、次に、ミケに変わって仕事をするってことだ。」
「ミケちゃんもそうだけど、生徒会の仕事って結構大変なんだよ。だから、夏前に選挙して、それから仕事覚えてもらってじゃ遅いわけ。」
ずっと黙っていた弟先輩が言った。
やっぱり、兄先輩より少しだけ声が高い。
けど、それにしても似てるな。声も顔もなんもかんも。
俺が今まで見てきた双子ってみんな、二卵性双生児だったから、ここまで似てる双子はなんだか新鮮だ。
「だから、新入生代表を勧誘しようと決めていた。1年生にすることで、俺らが3年生になっても仕事をよく理解してるから、あっさりと引き継げる。」
なるほど。全ては、あの新入生代表がいけなかったのか。
戻れるなら、昨日の朝に戻り、全力で浜口さんの言っていることを無視したい。そして、違う人が新入生代表挨拶をすればいいんだ。
「だから、唐澤志真。お前を生徒会庶務に、勧誘する。これは、生徒会役員全員の意向だ。」
あーあ。
これ、俺に拒否権なるものは、あるんだろうか。
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