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その18にしおりをはさみました!
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その18
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東京都三大王者と呼ばれる正邦、秀徳と1日2試合という死闘を制し、見事予選トーナメントAブロック優勝。
ついにインターハイ出場をかけた最後の戦い、決勝リーグにコマを進めた誠凛高校だった。
しかし。
波乱は突然やってきた。
「ったく。いつも急になんなんだ、あのカントクは。中間テスト全部もってこいとか…。また妙なことかんがえてんじゃねぇだろうな。」
火神はため息をついた。
まぁリコは今までに何度も無茶なことを言ってきたのだからそう思われても不思議ではないが。
「むしろすごく当然の事が起きそうな気がするんですけど。」
何だか良く分からないが、火神は気づいた。
黒子に哀れな目を向けられていることに。
1つ文句でも言ってやろうとした時、「おー、火神ー!」と声がかけられた。
振り向くと一年トリオの降旗、福田、河原が立っていた。
「持ってきたか?テスト。」
「あぁ。」
「つかなんで今なんだ?赤点取るとインターハイ行けないってのは聞いたことあるけど…。まだ早くね?」
「実力テストって成績には関係ねぇんだろ?」
「え?そうなの?じゃあマジで問題ねぇじゃん!練習した方がいいだろ!」
なんて男子高校生の会話を繰り広げながら部室に向かった。
黒子だけが哀れな目を火神に向けていた。
「問題、大有りよ!」
何が問題なのか問うた時点でキレられる火神。
ポカンとしていると2年生が説明した。
「確かに成績には関係ないわ!けど、うちの学校は一学年約300人。その順位がはっきり出るのよ。」
リコに続いて伊月が口を開く。
「そして下位100名は来週土曜に補習。これが問題なんだよ。」
一瞬ポカンとしたが流石にあっと声を揃えた。
「土曜日って……決勝リーグ!?」
「そ。だからテスト悪ーと試合行けねぇの。つーわけで中間の結果で危ないと判断したら、今夜からカントクん家で勉強合宿だ。」
日向の言葉に1年生は目を丸くした。
カントクの家。
リコもカントクではあるが女なのだ。
ドキッとしてしまう。
「勉強だからね?言っとくけど……補習で試合に出れんかもしれんバカにウフフな展開なんぞあると思うなよ。」
背景にゴゴゴゴという文字が見えたのは仕方ないのだろう。
「うん。まぁこれなら大丈夫じゃない?あとはちゃんと復習しておいてね。」
降旗、福田、河原はカントクからOKをもらい、胸をなでおろした。
「あとは…。」
「はい。」
「うす。」
2年生はきた…!と思った。
決勝リーグで不可欠にして一番予想できない奴らなのだから。
「じゃあまず黒子くんから…。」
黒子がリコに答案用紙を手渡した。
息をのみ、2年生全員でのぞき込む。
結果を見たリコの、いや2年全員の目が見開かれた。
国語100点
数学89点
英語97点
日本史95点
化学91点
その他もろもろ…。
なんと天使は勉強もできた。
流石元帝光中バスケ部隠れ主将。
もう一層拝んでいいですかと言いたい。
「こ、これは………言うことないわ……。」
「むしろ教えてくれ……。」
リコと日向の発言に周りも頷く。
「ていうかさすが俺の子。」
「さすが俺の弟。」
「さすがバスケ部の天使。」
「いや、だから違、」
「自慢しまくろう。」
「………聞いてくれ。」
上から順に日向、伊月、小金井が謎な発言をそれぞれが納得して言うのを土田は止めきれなかった。
当の本人、黒子は何のことかわかっておらず首をかしげていた。
その時。
「黒子…お前そんな頭良かったのか……。」
一緒になってのぞき込んでいた火神がゴクリとのどを鳴らした。
その言葉に黒子に集まっていた視線が火神へと移る。
なんというか、やっぱりという気持ちの方が大きい。
リコが火神の答案用紙を受け取った。
それを見たものは皆固まった。
国語 3点
数学 0点
英語 41点
世界史 5点
生物 9点
「ひでぇ!!!」
「バカだとは…バカだとは思っていたけども!!ここまでか!!」
「普通に0点もあんじゃねぇか!すげーよ、逆にな!!」
もはやある意味神の領域と言えよう。
「しかも英語も悪いって何!?帰国子女だろ、お前!」
「日本の英語が細かすぎんだよ!もっと適当でいいんだよ!通じりゃいいんだよ、言葉なんて!」
「開き直んなー!」
開き直って言い返す火神をリコは背負い投げした。
どこにそんな力があるのか。
「あちゃー…こりゃ俺ら全員がかりで教えるしかねぇな。」
日向の発言に火神は顔をあげた。
「え、先輩たち教えるほどみんな頭いいのか?ですか?」
「嘗めんなぁー!」
今度はリコのドロップキックが決まった。
「ったりめーだ!とりあえずお前よりはな。」
ちなみに前回の実力テストの結果は以下の通りだ。
日向112/305人
土田 81/305人
水戸部 74/305人
伊月 71/305人
小金井 52/305人
そして我らがカントク、リコ 2/305人
まぁここで突っ込んではいけないことを突っ込んでしまうのがKYと言う奴。
招待は一年トリオだった。
「でも、キャプテンは眼鏡のわりに思ったより…」
「眼鏡が全員頭いいと思うなよ!!てか真ん中より上だからいいんだよ!」
まぁキレるのも無理はない。
「バスケ出来りゃ勉強なんてどーでもいいんじゃ、」
言い終わる前に火神の頬にチョップが決まった。
「バスケは馬鹿でも出来るわ。でも、馬鹿じゃ勝てないのよ!!」
こうして、火神の火神による火神の為の勉強会が開かれるのだった。
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