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113.✩先輩後輩にしおりをはさみました!
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113.✩先輩後輩
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✩✩✩✩
新しく浮かんできてしまった疑問に気が逸れそうになるのをどうにか抑えつつ本題に入る。
「じゃあ、楓さんが『先輩』って言ってた男の人いるでしょ?……………その先輩との関係って本当に先輩後輩なだけ?」
他にいい聞き方が分からなくてストレートに、ほんとド直球って感じで聞いた。ここまで言えば、楓さんは俺が何を言いたいかを明確に察してくれる。いいことも、悪いことも。
案の定、楓さんは眉間に皺を作っている。
俺は楓さんの表情を窺っているのが怖くなって俯いた。
もし楓さんとその先輩が普通の健全な関係だったのなら、俺の質問はとても不快なものだと思われる。
だけど、俺はあの写真をちゃんとこの目で見てしまった。
裸で写っている写真と並べられたいくつもの写真。
それを見たときに感じた胸の痛みと既視感。
胸の痛みと既視感は、きっと俺の中にあるまだ眠ったままの記憶が反応したからだ。前の俺も楓さんのことをかなり愛していたらしいから。
「旭、聞きたいことはそれだけ?」
長く押し黙っていた楓さんが唐突にそう言った。
感情の読み取れない声色に恐る恐る楓さんを見ると、楓さんは怒っているような悲しんでいるような顔をしていた。
「ごめんなさい。不快な気持ちにさせたかったわけじゃなくて………」
「いや、謝るのは俺の方だよ。不安にさせて悪かった、ごめん………」
楓さんは俺の頬を撫でた。俺が何を聞きたいのか察してくれたみたいだった。
その瞳が昔を懐かしむかのように穏やかで、この話をするのはそんなに嫌じゃないんだ、と思った。
「………あの先輩とは、体の関係も持ってたよ」
楓さんは目を伏せてぽつりぽつりと話し始めた。
先輩の名前は静輝さんといって、楓さんの高校時代の先輩だったこと。
最初の頃は静輝さんのことが好きじゃなかったけど、だんだんと惹かれていったこと。
付き合ってはいなかったけど、お互いに好き合っていて体の関係があったこと。
俺と付き合い始めてからは体を繋げていないこと。
今は体の関係はなくて、ただの先輩後輩の関係でいるということ。
合間合間に静輝さんがどんな人なのかを話してくれた。
静輝さんとの間にはもっとたくさんの思い出があるのだろうけど、俺の不安を拭うためには今はもう体の関係がないってことだけで充分だった。
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