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18歳以上ですか?
18にしおりをはさみました!
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18
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――謝りたい。
何故そこまでこだわるのか自分にもよく分からないけど、謝らないと気が済まないみたいだ。
でも、電車で会えないのなら、どうやって謝れば良いのだろう。
わざわざ家に押し掛ける程の事でもないし……むしろそこまではしたくない。
自宅前の駐輪スペースに自転車を止めて、おとなりさんの家を横目に見ながら考える。
おとなりさんの家にはまだ灯りが点いてなかった。
いっその事、帰ってくるまで待ってみようか。
いや、待て待て。それは怪しい。
まだ引っ越して来て間もないのに、何をするでもなく家の前で佇んでいたら、近所の人達に怪しまれるかもしれない。
「はぁ……」
隣に住んでいて、いつでも会えそうなのに会えないなんて。
大きな溜め息をつくと諦めて家の中に入った。
「ただいまー」
二階へと繋がる階段横の壁に鞄を立て掛けて、リビングに入ると、母さんが夕飯の支度をしていた。
「おかえりなさい」
母さんが何やら炒めものをしながら、振り向いて俺に声をかけた。
いい匂いが鼻をくすぐって、ますます腹がへってくる。
冷蔵庫を開けて、何か目ぼしい物はないかと探ってみる。
残念ながら特に何もなかったので、牛乳で空き腹を誤魔化そうと一リットルの紙パックを口に持っていった。
「優ちゃん!ちゃんとコップで飲みなさい!」
チッ、見られたか。
忙しなく動いてるのに相変わらず目ざといな、母さん。
そんな風に思いつつ、渋々戸棚からコップを出した。
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