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……って、惚けている場合じゃない。
謝れよ、俺。
そうだ。
とにかく『すみませんでした!』って頭を下げよう。
何はともあれ、まずはそこからだ。
「この前は、すみませんでした!」
「……何の事ですか?」
俺が意を決して深々と頭を下げると、おとなりさんは驚いた顔をした。
えっ?
とぼけてるの?
それともマジで謝られた理由、思いつかないワケ?
気持ちを読み取ろうとおとなりさんの表情をジッと見てみるが、全く分からない。
どういうつもりなのか分からないけど、きちんと説明しなきゃなんないのか。
俺は気を取り直して話を続ける事にした。
「……電車での事です」
「電車……ですか?」
俺の言葉に、おとなりさんが不思議そうに首をかしげる。
何故謝られているのか、まだ分からないみたいだ。
もしかして……謝る意味ない?
……いや、俺が罪悪感を持っているのなら謝るべきだ。
一人自問自答しながら、自分を納得させるよう頷く。
「あの時は……世話してもらっておきながら、失礼な態度をとってすみませんでした」
――やっと言えた。
深々とお辞儀をしながら、内心ホッとしていた。
結果はどうであれ、今までずっと抱えていたモヤモヤは消えたのだから。
「頭を上げてください」
程なくして、おとなりさんの優しい声が聞こえてきて、ゆっくりと頭を上げると、おとなりさんはすごく困ったような顔をしていた。
……なんで?
俺、大げさ過ぎ?
でも、本当に悪いと思ったから謝っただけなんだけど……。
「平原くんは何も悪くありません。謝らなければならないのは、私の方です」
首をかしげていると、突然大きな影が外灯の明かりを遮った。
見上げると、近付いてきたおとなりさんが神妙な顔つきで俺を見下ろしていた。
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