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金鳳花 6にしおりをはさみました!
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金鳳花 6
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白い男はまだ少し荒い息をして
鶯の鬼を見下ろしていた
右手で左腕をひと撫ですると
裏庭を閉じている戸板に眼を向けた
そちらに歩みを進めると
戸板に手をかける
ミシミシと板は鳴るものの
幾年月か動かされた事のない戸板は固く
男が少し顔を歪め
力任せに押し開くと
木板の裂ける音と共に
幾つかの腐った板を破壊しながら
裏庭への道が開け放たれる
輝きを増した月光は更に射し込み
広間は光で満たされた
男の目の前に広がる裏庭には
黄色い小さな花を咲かせた金鳳花が
一面に広がっており
月明かりを受けて光っていた
その中に不思議な色を湛えた池があり
水面は虹色に揺れている
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この池は【鬼泉】
古くからの伝承によれば
鬼の国に繋がっているというが
その実は定かではなく
その存在自体、伝説に過ぎないとされた
鬼泉院というこの寺院
池との関わりが深い事がわかる
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戸口の傍に置いていた空の水瓶を掴むと
男の裸足が金鳳花を踏んで池へと向かう
男が踏み進めた後の金鳳花が
黄色から真っ白な華へと
その身を変えていく
まるで色を吸いとられたかの如く
池縁まで着くと男は膝をつき
池に水瓶を沈めた
そこから広がる波紋が
まるで生き物の様に蠢く
ザバッっと水瓶を持ち上げると
汲み上げた虹色の水が
水瓶の中で赤黒く変わっていく
水瓶を掴んでいた男の白い手も
まるで何かの胎内に沈めた様に
赤黒く汚れてしまった
男はそんな事を気にする様子もなく
満たされた水瓶をもって社へと向かう
水瓶から雫が落ちた
白く変わってしまった金鳳花にかかった雫
白い男の赤黒く汚れた姿に
よく似ていた
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