アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
宮城王子にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
宮城王子
-
長い長い式典が終わり俺が目を覚ました後は一変、司会者の明るい声で緩んだ空気の中、部活動紹介が行われていた。
その中でも、ダントツで人気が高いのは演劇部だった。
…主に、女子生徒から。
王子と姫の簡単な演劇を披露した演劇部であったが、どうやらその王子が「宮城さん」と言う人らしい。
入学式は1年生だけだと言うのに、どこからかその名前を聞きつけた女子から
「キャーー!!宮城王子ーー!!」と黄色い歓声があがり、
終わった後の演劇部見学の列は女子生徒で溢れ返っていた。
過去に演劇をしていた事もあり「宮城王子」に色々聞いてみたいと興味をそそられたのだが、
その列の女子の多さに本能が「あ、無理だ」と虚しく告げる。
そこでハッとして、そそくさと列の近くを後にした。
俺はもう、高校からは演劇をしない。
そう決めていた。
自分にスポットライトが当たる快感、
自分の演技に泣いたり笑ったり
コロコロと表情を変える観客、
忘れた訳ではない。
忘れられない。
でも、目立ってしまえばまた
男からは歪んだ愛情を向けられ、女からは嫌な妄想をされ
四六時中、ねっとりと絡む視線にビクビクしながら過ごす今までの生活を、繰り返してしまう事になる。
それだけは避けたかった。
俺は、彼女が出来なくてもいい。
ただ普通に、目立たずに高校生活が送りたい。
それだけなのだ。
そんなものに縛られずに演劇を続けたらいい、
そんなくだらない理由で、
と言われるかもしれないが、
まだ子供である俺にとっては重要な問題で
こうして地元を離れ、誰も知らない土地で新しい生活を始めようとしているのだ。
……
……………
とは言ったもののやはり俺は演劇が大好きで。
「…やっぱり久々に声出したいよなぁ、うん。そんな簡単に辞めれるかっての。声出しくらいならしてもいいよな。」
そう自分に言い聞かせて空き教室を探し始めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 19