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鳥籠にしおりをはさみました!
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鳥籠
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元々人が苦手だった俺は、男どころか女の人でさえ好きになった事なんか無くて、
演じる最中に何度か恋に似ているであろう感情を抱いた事はあるけど、それはあくまで役としての話で、
高校になってからも、恋なんてする予定無くて、
なのに、なのに
扉の向こうに居る先輩の事を考えるだけで、顔が熱くなる。
心臓の音が聞こえないかと不安になり、胸に手を当てた。
「たまたまこの校舎に立ち寄ったんだけど、苦し気に歌い続けるからつい声を掛けちゃったんだ。
まさか同じ学校で会えるなんて思わなかった。
マリア、演劇部に入る気はない?
せめて姿を見せてはくれないか?」
好きな人が自分を必要としてくれて、
好きな人と同じ部活で一緒に頑張れるかもしれない。
そんな思考を巡らせる最中、宮城先輩は芝居のような声と台詞でマリアへと告げた。
「君の長くて綺麗な髪を、大きな瞳を、潤った唇を、僕の目に写させてはくれないか?」
俺の演技を試しているのかもしれない。
ただ単に、俺と演技がしたいだけかもしれない。
でもそれは確実に、俺ではなくマリアへ向けた台詞。
閉ざされた視聴覚室から出て行くことなど、到底出来なかった。
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