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25本目、羨ましい。にしおりをはさみました!
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25本目、羨ましい。
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「そろそろ出ようか」
「わかりました」
そう言うと長野さんは三分の一ほど残っていた、氷が溶けてほぼ水になっているアイスティーを一気に飲んだ。
そこはもう水とガムシロップの味しかしなさそうだと思いつつその姿を見守る。
長野さんは僕が見ていたことに気がつき恥ずかしそうにしながらそそくさとカバンを持ち席を立つ。
「あ、歩生くんは出さないでいいよ」
「でも…」
「ほら。年上らしいことしたいからさ」
長野さんはそう微笑むと僕の背中を押して扉の方へ促した。
ここで余り食い下がるとみっともないかなと思い素直に店を出て外で待っていた。
僕は普段からお世話になっているからお礼をしたかったのだが今のところ僕ばかり色々してもらってる。しっかりしなくては…。
「おまたせ」
「すみません、出してもらっちゃって…」
「全然だよ。今日は急だったのに会ってくれたんだからそのお礼だと思って」
長野さんはどこまでも優しくて一緒にいると癒されるし嬉しくなる。
僕も長野さんにとってそういう存在になりたい。
「このあとは時間は大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ」
「じゃあゲーセン行こう」
長野さんの口からゲームセンターなんて意外で少し驚いてしまった。
僕はゲームセンターなんて滅多に行かない。
沢木たちに無理やり連れていかれたことはあったけれど、自ら行こうとは思わない。
「長野さんはゲームセンター好きなんですか?」
「いや、あまり…というより全然行かないよ。前にね、連れていってもらった時にぬいぐるみをとってくれたんだ。いらないよって言っても頑張ってとってくれて…っていう思い出に浸りたいのもあるかな」
お相手の方がとても長野さんのことを想って大切にしているのが伝わる。
長野さんは嬉しそうな表情でそう話してくれた。
長野さんたちの話は聞いていてとても楽しいし、僕まで嬉しくなる。
まるで幸せを分けてもらえている気分だ。
「素敵です。長野さんのお話。どれも聞いていて楽しいです」
「ありがとう。もちろん歩生くんと遊びたいって気持ちが一番なんだけどね!」
「不慣れですがよろしくお願いします…」
「えっ!えっと、こちらこそよろしくお願いします…?」
僕が軽くお辞儀をすると、長野さんも釣られるようにお辞儀をした。
顔を上げ目が合った時に二人で笑ってしまった。
これからゲームセンターに行くというのにこんなにかしこまるのもなんだか可笑しいなと思った。
ゲームセンターに向かう途中も色々な話を聞いて、僕は次第にパートナーがいることが羨ましく思えた。
長野さんの話を聞いていると、二人は本当にラブラブで性的関係のみで成り立っている訳では無いことがハッキリとわかる。
アルファ性とオメガ性という関係においてこんなに素敵なカップル初めて見た。
昨今ニュースではオメガ性が被害に遭ったという報道がされるなんて珍しくない。
だから僕も怯えて生きていたけれど、長野さんたちのようにアルファ性の人と素敵な関係を築けたら本当に幸せなことなのだと思う。
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