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「ふむ。やれば出来るじゃないか」
「……会長ぉ、俺、生きてますかね?」
「ああ、辛うじてな」
会長との勉強会が始まって一時間で俺一人で取り組んでいた一時間が嘘のように、山ほどあった補習のプリントは終わった。それに最後の方のプリントは自力で解いてみたのだが、殆ど間違いが無かった。
会長の教え方は本当にスパルタだったけれども、それ以上に教え方が上手で理解力に乏しい俺でもあっさりと理解が出来た。会長なら本当に塾の講師になれるんじゃなかろうか。
「ほら、上野、俺に言うことがあるんじゃないか」
「はい! 会長! こんな馬鹿犬にご指導ご鞭撻のほどありがとうございました!」
「よろしい」
会長は満足気に頷くと席を立つ。窓の外を見てみるとさっきまでいた運動部の姿はなく、照明灯が暗くなった運動場を薄ぼんやりと照らしていた。
「結構遅くなっちゃいましたね。すみません、送りましょうか?」
「いや、遠慮する。迎えの車を用意してあるからな」
「迎えの車!?」
迎えの車って、もしや会長ってお金持ち!?
なんて、今さら吃驚するほどでもないか。何せこの学校の生徒って金持ちばかりだし。会長も例に違わず、どっかの財閥の息子とかかな。
「お前は歩いて帰るのか」
「そりゃあ」
会長と違って俺は庶民ですしね、送迎の車なんてあるわけない。
ふうん、と会長は興味無さげに鼻を鳴らすと腕に付けている時計を見た。会長によく似合う品の良さそうな腕時計。絶対高いんだろうな。
「上野、送ってやる。一緒に車に乗れ」
「え!?」
腕時計から顔を上げた会長が唐突にそんなことを言う。
「本当は暗くなる前に帰らせるつもりだったんだが、生徒会の仕事が長引いてしまいお前の勉強をみる時間が遅れてしまった。悪かったな」
「え、会長、最初から俺の勉強をみるつもりで?」
「? そうだが?」
さも当たり前の顔する会長。
偶然通りかかったからついでに俺の勉強を見てくれたとばかり思っていた。でも、そうだよな。会長は三年だし、一年の階にいることって早々ないよな。え、つまり間宮から聞いて心配して来てくれたってこと?
気付いた途端、ぶわああ、と身体が熱くなる。
「か、会長、俺すごく嬉しいっ」
「は?」
いきなりどうした、と言わんばかりの顔をする会長だったが、嬉しさのあまり勢い良く会長に抱き着いた。
「本当にありがとうございます! 会長大好き!」
「っ! い、犬の分際で勝手に触れてくるな!」
「ぐはっ!」
必殺!会長のストレートアッパーを右頬に喰らった。
が、会長の耳が赤くなっているのが見え、その痛みさえも嬉しく思う。って、俺は殴られて喜ぶMじゃないからな。断じて。
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