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会にしおりをはさみました!
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会
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もうだいぶん飲んで食って
腹の具合も、雰囲気もええ感じになってきた頃やった。
ガヤガヤ二階から何人かの客が降りてきて、その中の一人がオレを見て、すっ頓狂な声を出した。
「あーっ!和泉さんじゃないですかぁ!?」
―は…?
なんやコイツ。
「とっ、取り敢えず。指差すのは止めた方が良いよ、麻美ちゃん。」
マミ。と呼ばれた方より、たしなめたメガネの方に、見覚えがあった。
化粧や服の感じが違うから、よう判らんかったけど
話し方や声を聞いて、やっと名前を思い出した。
「ああ、経理の三浦さんやんか。こんばんは。」
「うわっ!やっぱり関西弁なんですね~。」
スッカリ出来上がってるソイツは、馴れ馴れしく近よってくると、静の隣へ腰を下ろした。
「和泉さんて、仕事中は標準語なんですよ。で、いっつも超素っ気ないんです!」
「はあっ?」
思わず声が出た。
そんな風に言われる程、オレはおまえと関わった覚えないで?
「…そうなのか?」
「いや…、どないやろ?」
静にきかれて、オレは首を捻った。
「でもね。エレベーターでボタン押し忘れてたりだとか。書類に押す判子、間違えてたりとか。いつも正門じゃなくて裏口から出勤してきたりとか。なーんかちょっと放って置けない感じなんですよねー。」
ニヤニヤ笑ろてる顔に、静が訊いた。
「実際、親切にして下さっているのでは?」
「そりゃあ、出来る事はしてますよ。たまに、可愛い姿を見れることもあるし~。」
「ねぇ、麻美。もうやめなよ!」
見かねたメガネが、割って入った。が、バカは空気も読まずにまだ喋った。
「その可愛さに、コロッとハラダ乳業の社長も騙されたって聞きましたよ?」
「麻美っ!?」
「騙すやて?オマエ、一体何言い出すねん!!」
「あ、…ほだされる、だっけ?涼香ちゃん、日本語って難しいねー。」
ヘラヘラ笑う酔っ払いを引き摺って、メガネはペコペコ頭を下げながら出て行った。
その場に残されたオレは、と言うと
無表情に杯を傾ける静の隣へ、黙ってチンマリ座っとった。
「和泉。」
「な、なんや?」
「行くぞ。」
事情聴取に行くより、もっと気マズイ感じで、オレはホテルまでの道を辿った。
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