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Act.16 ワインにしおりをはさみました!
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Act.16 ワイン
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小さい頃からくじ運が悪い子でした。
ハズレ引くのが天才的で、母親からは「将来のために運を無駄にしないようにとっているのよ。きっとまとめていい事がやってくるからね」と、言われて続けてきました。
でもね……神様だって見落としするんですよ母さん。
「お、ここに余った運がある!」って、もともと持っている人に間違えてあげちゃうんです。絶対にそうです。
取って置いていた運ってのが一体いつ巡ってくるんでしょう。今だってどうも間違えて引いてしまったハズレくじのせいで大変な事になっています。
「将生ってさ……本当は俺のことどう思っているわけ?」
「どう思っている」ってそんな怖い顔で言われてても困ります。だって、だって...…何も考えずに今日まで来てしまっています。
もしかして好きかなって思っても、それが本当なのかよくわからないくらいです。
「俺はね、将生に会えたのは運命だと信じてるから」
そんな事を言われると……つい、調子に乗ってしまいます。
「あの……」
「何?」
「そろそろこれ、外してもらえませんか?」
運命を感じる相手に対して、この仕打ちは結構ひどいと思っています。何しろ、僕はずっとお願いしているのに却下ですものね。
「ダメ」
やっぱり「ダメ」と言われました。僕は今、ベッドに座った状態で、俺の手首がは右足首に、左手首は左足首に固定されてしまっています。動こうにもどこにもいけません。僕をそんな状態で放っておいて、目の前でウロウロしながら説教をくれているこの人は何なのでしょうか。
少なくとも一つだけはっきりと分かります。……香月さん、怒ってますね。じゃなきゃ、かなりご機嫌斜めって事ですよね。やっぱり。
「俺と兄貴を間違える?ありえないでしょ?全く違うでしょう。赤ワインと白ワインどっちも同じワインだから見分けがつかないなんて人いないんだよ、将生」
いえ、少なくとも赤ワインと白ワイン見かけは全く違いますからね。何を言い出すのでしょううか。鏡みてください、全く同じ顔が映っているはずですから。
「んー、ワインの事考えたら飲みたくなってきた。今日の夜は長くなりそうだし、一緒に飲みながら楽しもうか」
言ってる事は建設的ですが、僕のこの状況はとても一緒に楽しむという状況ではないのはお気づきでしょうか。誰が見ても変ですから。
「将生には俺が飲ませてあげるから大丈夫」
楽しそうに笑う香月さん……監督の持ってくる台本より、よっぽど不可思議ですね。この先の展開は僕には全く読めません!
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