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トントン。
初めて叩く英語科の準備室のドア。よもや俺がこんな風に教師の元を訪れる日が来るなんて…。
「どうぞ」
シーンと静まり返った部屋から聞こえてくる声。
聞き違えるわけのないリカちゃんの声だ。
ガラリと開けた扉をくぐる。
部屋に広がるタバコの香りに、俺は居心地の良さを既に感じていた。
「お、マジで来たのか」
「お前が来いつったんだろ」
来ることなんてわかってたって顔をして、そんな事を言うリカちゃんはズルい。
「あと10分あるんだから座れば?」
2時間目が終わった後の休み時間は少し余裕がある。
それを狙っての呼び出しだとしたら……と、かすかに期待してしまう。
「用が無いのに呼び出すなよ」
「可愛くねぇな。さっきと同一人物とは思えない」
やれやれ、と首を振ったリカちゃんが俺にパックのジュースを手渡した。
「ほら。ちょっとでも走ったんだから水分補給しとけ」
リカちゃんは本当にズルい。
偉そうで、意地悪なのに優しい。
「どーも」
「どういたしまして」
ジュースを受け取るときに少しだけ指と指が触れ、そこから熱が体中に広がっていく。
「なんか顔赤いけど大丈夫か?」
「……別に」
「辛くなったら言えよ」
冷たい手が俺の頭を撫でる。
何気ない仕草、表情にさえ胸がドキドキする。
体調なんて悪くない。
俺はアンタを見るだけで顔が赤くなっちまうだけだ。
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