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嗤う
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「痛いの我慢できるって訊いたから、飛び切り痛い事してあげるよ」
目配せをして、伊集院に裁縫用の針をもらった。
女の焦点は、最早合わせることが出来ないらしい。
大きさが安定しない瞳孔で、必死に僕の手の動きを追う。
「じゃあ、頑張ってね」
残った二本の指先の内、人差し指の爪の間に針を当てがい、ゆっくりと侵入させていく。
先ほどの比では無い痛みが、女の身体を駆け巡る。
泣き、笑い、怒り、不意に黙る。
明らかに異常な反応を示す女に、黒服たちはざわめくことすら出来ない。
ぶすぶすと指先に何ヵ所も穴をあけ、泣きながら笑う女を嗤う。
「せめて、直接喧嘩売りに来ればよかったのに」
呟くように零した言葉に、しわがれた声が反応した。
「な、に?」
「そしたら僕らも真っ向から相手して、勝った。負けた。それで終わった。
でもあなたたちは夜見に手を出した。僕の、夜見に」
つぷり。つぷ。つぷ。
針を突き刺し、奥へと、奥へと。根本まで埋め込む。
「悪い様にはしないとか、何とか。言ってましたね。確か」
口端に、喘ぎながら泡を吹いた女を離す。
えへえへと笑い続ける女は、何かが壊れたらしい。
「それ、少し勘違いしてません?」
笑う女の頭に足を置いて、ぎりぎりと体重を掛ける。
「貴方たちもうとっくの昔にね、触れてるんですよ」
…コキン
「僕の逆鱗に」
女の笑い声が、止んだ。
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