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夕勤スタート!
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「はぁ…」
(憂鬱だなぁ。。店長やっぱり帰っちゃったし。。西川ちゃんいるからまだいいけど…そうだ!僕が教えなくても、西川ちゃんが手取り足取り教えてくれるさ!うん!そうだ、そうだ!西川ちゃん、上村君の事、気に入ってたし!まぁ、主に”顔”がって言ってたけど…)
チラッとレジにいる2人の様子を伺う。
キャキャキャっとはしゃぐ西川の話をじっと聞く上村がいた。
(今日は来た時、一応「お疲れ様です」って言ってくれたからよかった…後ろに立たれてたから、びっくりして、すぐに返せなかったけど。。てか「お疲れ様です」は当たり前なんだけどね!!あーもぅー!何であいつの言動を気にしてんだよーー!)
ふと、上村がこちらに顔を向けたため、雄大は目が合いそうになり、瞬時に商品棚の上に目を向けた。
「何してんだか…。」
頭をかきながら、上の棚にを見るとふとディスプレイされたクッションの1つに汚れがあるのが見えた。
「あっ…?」
雄大は背伸びをした。
「あらあら。なんの汚れかな?」
わざとらしく声を出し、手を伸ばしたが、手が届かない段だった。
「ほっ!!」
指先は当たるが、取れる感じが無い。
「脚立…いるかなー?えいっ!」
ジャンプを試みるが、中々掴めない。
「もうっ!!」
もう一度飛ぼうと上を見上げた時、後ろから長い黒い腕が飛び出してきた。
「これ?」
目的のクッションを掴んだ加藤が、柔らかな顔で首を傾げていた。
「加藤さん!!」
「はい。」
「あっ、ありがとうございます。」
雄大はオドオド、ドキドキしながら、クッションを受け取った。
「どこ…だったっけ…?」
雄大は念入りに汚れの見えた場所を探した。
「どうしたの?」
「いや…汚れが…」
顔を上げるとすぐそこに加藤の顔があった。
「…あって…」
「ふーん。」
息がかかりそうな距離に雄大は、慌ててクッションに目を集中させた。
「あっ、あれ?汗」
さっきまで見えていた汚れを探していた。
「あった?」
加藤が雄大の手元を覗き込むように屈んだ。更に顔が近くなり、雄大は顔が熱くなるのがわかった。
「なっなっ無いっすね!」
加藤を引き離すように雄大はクッションを上に掲げて、上下左右見た。
「無さそうだね。」
くるくる動く雄大を止めるように加藤は片手でクッションを掴んだ。
「光の加減でそう見えたのかもね。」
加藤がくしゃりと目尻に皺を作ると整い過ぎて緊張してしまう顔が、急に親しみやすい感じになる。
「そっかー。よかった、よかった。まだ売れる。」
雄大はその笑顔に応えるように満面の笑みを返した。
すると加藤は何かを訴えるような目で見下ろしてくるので、雄大はドキリとして、先に口を開いた。
「あっ!こっ、これ、また戻してください!お願いいたしますー!」
雄大は手にしていたクッションを頭を下げながら、加藤の前に差し出した。
(図々しかった…かな?)
ちらりと顔を上げると加藤は一瞬びっくりした顔をしたが、すぐに楽しそうに笑った。
「仕方がないなぁー。」
雄大も嬉しくなって、軽々と元に戻す加藤の横でルンルンと後手に手を組んだ。
「あっ、横のも正面に向けてもらっていいですか?」
「これ?了解。人使いあらいなー。」
「てへへっ。」
「これじゃあ、給料貰わないとね。」
「じゃあ店長に言っておきます!あっ!てかもし加藤さんがうちの店入ったら、100%繁盛します!」
興奮気味に言うと、加藤はキョトンとした顔をして、上げていた手を戻した。
「もしも…ですよ…絶対、無いけど…」
雄大はおずおずと肩をすくめた。
「雄大君と働くのは楽しそうだけど、そう言うつもりで言った訳じゃない…まぁ、いっか。でも何で?俺が入ったら繁盛するの?」
再び目を細めた加藤に雄大はぴょんと近づいた。
「だって、加藤さんイケメンだし、背も高いし、優しいし、あと声がいいです!加藤さんに薦められ商品なら絶対誰でも買っちゃいます!」
「そうかなー?誰でも?」
腕を組んで、加藤はちらりと横目で雄大を見た。
「誰かさんは、俺を買ってはくれなさそうだけどね。」
雄大は目をパチクリさせた。
「??えっ??どう言う事ですか?誰ですか?」
首を傾げる雄大に加藤はくすりと笑った。
「誰だろうねー?でも雄大君がそんな風に俺を思ってくれてるなんて嬉しいよ。ちょっと褒めすぎだけどね。」
「褒めすぎなんて!褒め足りないですよ!」
加藤はクスクスと笑って、前のめりになる雄大の頭に手を置いた。
「本当に雄大君は可愛いね。でも本当の俺を知ったら、怖いかもよ。」
「??怖い??」
「男はオオカミなのさ。」
「?僕も男です?」
きょとりとする雄大を見て、加藤は「あははっ!ちょっと古かったかな!」と大きく笑った。
「そうだね!雄大君もオオカミになるのかな?それはそれで楽しみだけどね。」
「どう…」
チーーーン
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