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1章-p4 その夜と再会
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一通りリラレルの手作り菓子をもらい紅茶を飲み終わった頃に、家に背の低い小人の妖魔が訪ねてきた。リラレルに聞くと彼らにこの家を作ってもらったらしく、その後もよく遊びに来る仲らしい。
ダードも長居しては迷惑だろうと思って、「ありがとう」とリラレルに伝えて帰ることにした。リラレルは今晩も泊まっていけばいいのに、と言ってくれたが地に頭をつけてお礼を言わなかったことがザムシルにバレたら面倒なので帰ることにした。
この家の周りの森は深いらしく、迷うこともあるらしいので、小人の妖魔が森を抜けるところまで案内してくれた。その妖魔と話していたら、彼らのなかではリラレルはなかなか人気者という情報を得た。
街に戻ってバイト先の店の前を通ると店長に声をかけられ、バーはどうだったの?と色々聞かれたので明日出勤した時に詳しく話すからと軽く受け流した。
現在の住処は、バイト先の店から少し歩いた小さい集合住宅だ。手狭だが家賃が安くて助かっていた。何より1人で過ごせるというのが一番安心できるところだ。
─────少し遠く、ダードがアパートへ向い歩いている姿を物陰から見ている影があった。影はニヤリと口元に笑みを浮かべると、いつまでも彼の姿を目で追っていた。
「ああ、あの男は早々に帰ったのですね。」
ザムシルは帰宅すると部屋を見渡した。
「そうなの、寂しいからまた来てねって言っておいたのよ。最初は私のことまだ警戒してたみたいだけど、お話してたら慣れてくれたみたいでよかったわ。」リラレルは嬉しそうに話した。
リラレルの喜ぶ顔を見てザムシルもそうでしたか、と笑みを浮かべた。
「あの子は優しくて脆い子ね。サール出会った時は常に気を張っていたせいか、鋭くて強いイメージがあったけど。」本を読んでいたリラレルはふと花瓶にいけてあった小さい花を見た。
「そうですか?脆いのはまだしも、もう一つ比喩としてあげるなら、やる気のない気だるげなヤツだと思いましたけど。」
「何から逃げているのかしら」
ザムシルは少しだけ真剣な目をして「さあ」と言った。
「そうだ、明日は早朝に買い物に出てきます。先日買い忘れたものと、研究のために必要なものが出来たので。」
わかったわと、リラレルが答えるとザムシルはいつものように夕飯の支度を始めた。
その夜ダードはいつもと違い寝付くのが早かった。ザムシルに会いリラレルと話し、サールとは環境が全く変わったのだと実感したせいかもしれない。
ダードは深い深い眠りの中にあり、
朝も近づいた頃だった。
雑音と共にガチャリとドアの鍵が開く、それは不穏な音だった。なぜかというと普通に鍵が開いた音ではなかったからである。それはカギが強引な非正攻法で開けられた音だった。
その音はダードの深い眠りの表面を軽くかすった。
やがて小さい床のきしみ音が忍び寄ってきた。
自分以外が発する音にダードはゆっくり目を開けた。
「よう、チビちゃん元気そうでなにより」
目の前に被さるようにその男は居た。
尖った歯を見せにやりと笑うその男をダードは知っていた。
「…ッ」
「おっと、うるさく泣いてもらっちゃ困るぜ。」
言葉を発しようとしたダードの口を男は勢いよく手で塞いだ。その手を振り払おうとするも、口の内側がが歯に食い込むほど強く塞がれている。覆い被さるように乗られている体制を逃れようとしたが、既に強い力で可動域を制限され身動きが取れないようにされていた。
「別に何しようってわけじゃねえんだぜ。ただ、お兄ちゃんが心配してたから探しに来てやったんだよ。」
「…」
ダードが小さく睨むと男は口を塞ぐ手を緩めた。
「コルが探してるって言うのか。」ダードは小さい声で男に聞いた。
「ああ、すげぇ心配してたぜ。コルだけじゃなく、爬虫類のガキもじいさんもな。なー、意地張ってないで帰ってやれよ、何が嫌なんだぁ?」
男はさも困った顔で話すが、ダードは緊張しきった表情で男をにらみ続けていた。
「…」
「なんにも言ってくんねーんじゃ分かんねぇよ。」
「あそこにはもどらない。」
「どおしてだ。また皆で仲良くしようぜ、おチビちゃん。」男はニコニコしていた。
「…それが嫌なんだ」
ダードはとても小さい声で押し殺すように言った。
「はっ、何が嫌だって?そっか、これが嫌だったのかー」
そう言うと男はダードの下腹部に触れた。
ダードの表情は一瞬にしてこわばり、歯を食いしばっていた。
抵抗しようと男の腕を掴み思い切り爪を立てるが、振り払われ片手で両手首を押さえつけられる。
「そうそう俺達と遊ぶとき、いつもそんな顔してたっけなあ。それって嫌だったのか、全然わからなかったぜー。」
男はかまわず触れることを続け、身動きがとれないダードに無理やり唇を押し付けた。太く大きな舌が、ダードの唇を割り口腔内を我が物顔で支配する。
ダードは抵抗するが、男はとても体格がよく力が強い。じゅるり、と吸い付いた唇が離れる。
「人間のお前が、半妖魔の俺に力でかなったことないもんな。へへっ…久しぶりだしちょっと楽しもうぜ、おチビちゃん…」
ダードは目を伏せたまま何も答えなかった。
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