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運命の人。
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「なんで、....俺はいいからとかいうのさ」
少し怒ったような声で左は言った。
拗ねているのかもしれない。
右は少し考えて、彼の泣きそうな目を見つめた。
「...お前の曲が好きとか、ギターが好きとか
..そんな風に言える戸賀が羨ましかったから」
具体的に言えば言うほど本気である、だとか
そんなのでは無いと思うが、
自分には無い真っ直ぐさだったから。
やり方は色々おかしかったが、彼も彼なりに好きを貫いたのだ。
左もそうだった。ずっと自分を追い掛けて、
付け回して、よく笑ったり泣いたりしていた。
それに比べて自分はどうなのだろう、と。
思ってしまっただけなのだ。
左は考えるように口を斜めにして、やがて小さく笑った。
「そっか。でも、僕はやっぱり.....
戸賀じゃなかったと思うよ」
さらさらと朝日に照らされた風が
彼の遊んだ毛先を更にぴょんぴょこさせる。
「右が運命の人」
右はそれを眺めながら、確かに胸がぎゅっと締め付けられるのを感じて
泣いてしまいそうだったから、下唇の内側を噛んだ。
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