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俺の好きな人には彼女がいる。
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がちゃっと音を立てて扉が開く。この時間に帰ってくる人は決まっている。
「ただい……ま、って、光輔⁉︎」
「兄貴……」
支えているのが辛くて床に寝そべっていた体を起こす。兄貴は慌てた顔をして俺の体をぺたぺたと触った。
「おまえ、何して……って、熱っ!」
額に手をやった兄貴が驚く。あー兄貴の手、冷たくて気持ちいいなあ。そういえば、さっきから怠いのに加えて頭がぼーっとしてきたなあ。何かと思ったら、熱が出てたのか。
「光輔、俺の肩に掴まれ」
「あはは、いいのに兄貴ー」
「いいから!掴まれって!」
一人で歩くことぐらいできるのになと思いながらも、兄貴が強く言うから仕方なく肩に掴まる。そのまま兄貴は俺の体を支え、部屋に連れて行ってくれた。
「ありがと兄ちゃんー。……でも、別に俺なんか運んでくれなくてもよかったのに」
「……おまえ、なんかおかしいな。今日、松永と出かけたんだろ?あいつが何かしたのか?」
最初からアキくんのせいだと決めかかっている様子に思わず笑ってしまう。理由は知らないけど、兄貴は昔からアキくんが大嫌いなのだ。
「何にも。アキくんは何もしてないよ。あ、でも……」
「でも?何だ、言ってみろよ」
言うな、言うな、と脳内で警報が響く。だけど、弱った俺は誰かに言わずにはいれなくて。
「アキくんの彼女に、会ったあ……」
俺の小さい声に、兄貴は「そうか」と言っただけだった。
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