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由紀也の場合
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全速力で家に帰る
とにかく走って家のドアを開けるとき鍵がなかなか差し込めなくて何度も落とした
それは先ほどの恐怖心がまだ体から抜けてないことを示す
考えれば考えるほど奥歯がカチカチと音をたてて体を震え上がらせた
真っ暗な家
静まりかえった部屋
誰もいない
誰も僕を気にしない
誰にも言えない
誰かに聞いて欲しい
だから先生がいたのに
だから先生がよかったのに
なんで?
なんでこんなことしたの?
先生がわからない
これからどうしたらいいのかわからない
一人気持ちを落ち着かせようと服を脱ぎ脱衣所へむかう
べたべたの体
先生が触った僕のモノ
先生にされた大人のキス
耳に残る低い声
体を締め付けた力
嫌だと泣いたのに.....
怖いと震えていたのに...
そのままお風呂に入って、今日のこと、全部流してしまいたい
鏡に映る自分の顔は泣きすぎてむくんでいた
「ひどい顔してる」
顔.....
誰にも見せない顔
誰も知らない、自分しか知らない
あれが先生の顔....だったの?
誰も知らない顔
先生に会うのは怖い
でも知りたい
触れられたくない
でも聞きたい
僕は気づいていた
先生を好きだということを
だからこそ、怖かった
嫌だった
だけど...好きだからこそ
こんな目あっても.....会いたい
会いたいよ...先生
********
あんなことがあって眠れるはずもなく、僕は眠い目をこすりながら朝のホームルームを迎えようとしていた
花田先生はいつもと変りなく、きれいで幸せいっぱいの顔していた
誰かがひとり、先生にチャチャを入れる
「せんせーい!結婚するって本当?」
それに合わせてクラス中が盛り上がる
「ちょっと!やめなさい!こらっ!」
注意しているのにその顔はほころび、幸せのオーラがにじみ出る
それを見て心がちくりと痛くなった
なんか顔見れないや...
もし先生が昨日のこと知ったらどんな顔するのだろう...
放課後、僕は一人、待っていた
夕日が沈みかけたころ
鍵の束をガチャガチャともてあそびながら.....先生は来る
そして.扉を開けて....きっと僕がいるのを驚くだろう..
ガラ
「.....!!」
先生はぎくりとして足を止める
「さ...澤田..」
先生が一歩ずつ近づけば、次第に昨日の恐怖がよみがえ足がすくむ
サァッーーーと鳥肌が立ち、喉が渇く
先生の顔が見れない
先生は立ち止まって言った
「澤田...心配しなくてもここからは近づかない....」
うつむいて僕は床を睨んでいた
少し先に先生の靴が見える
「謝ってすむとは思ってない...ホント悪かった...」
僕はなにも答えられない
「俺のこと信用してくれていたのに...本当にごめん」
見えてないけど先生は頭下げているに違いない
「.....すまなかった....」
最後にもう一度言って先生は出ていこうとする
床を睨んだ目先から先生の靴が消えていく
先生
先生
行かないで
「先生.....」
先生の足がとまる音がした
「もう...あの部屋に行っちゃだめですか...?」
******
暗い廊下を先生のあとを少し離れて歩く
上履きの音がキュッキュッとやたら響く気がした
B棟一階、理科準備室
先生が扉を開けて僕を中に通す
僕はいつも座る席にいつものように座る
先生は静かに僕のためにマグカップにココアを注ぐ
いつもと違うのはただ会話がないということ
「澤田....」
先に話したのは先生だった
「無理してるんじゃないか?」
僕は部屋を見渡す
僕は昨日、この部屋のこの席で先生に力づくでふせられて口をふさがれて下着まではぎとられて弄ばれた
泣いてもやめてもらえなかった
なのに僕は今日もここに来て先生と一緒にいる
「先生は....男が好きなの?」
先生は僕の質問に顔を伏せる
「花田先生と....結婚するんじゃないの...?」
先生はその質問に答えずに話を変える
「澤田!やっぱりお前、もうここには来るな...」
そう言われて僕は顔を上げる
「...先生...」
ここに来るなと言われて......どうしてこんなに泣きたくなるのだろう
じわじわと目の淵に涙がたまっていく
「僕....」
泣きたくなんかなかったのに....
「先生のことが...好き....だから....もう来るななんて...いわないで」
そういうと一つぶ涙がこぼれ落ちた
下を向くとボタボタと涙がこぼれていく
「澤田...」
「先生....」
つぶやくと先生が僕の頭にふれた
「怖いか?」
泣きながら首を横にする
「いいのか?」
今度は首を縦に振る
「こっち向け」
そう言って先生は僕の頬に触れる
昨日の時とは違う優しい触れ方
涙をぬぐって僕と目をあわせる
「せ...先生」
見上げる先生はいつもと変わらず優しい
「昨日は...すごく怖かった...から」
僕はおずおずと先生に触れる
「もうあんな風にはしない」
そう言って先生の顔が近くなる
「せ....せん...」
先生と言おうとして優しく唇を奪われた
手が触れた頬があったかくて唇が柔らかかった
先生に促されて舌を絡めれば、溶けるような感覚に眩暈がした
「ココア....」
唇から自然に零れる僕の言葉に先生が不思議な顔をする
「先生..ココアの味がする...」
ホゥけたようにつぶやく
それはいつもと同じなのに、いつもより甘く感じた
先生は僕の言葉をさえぎるようにキスを重ねていく
昨日と今日で先生が全然違う
これでいい....
これがいい....
先生が好き
それだけだから
先生がいてくれればそれでいい
僕は先生の胸に顔をうずめてシャツのにおいを胸いっぱいに吸い込んでいく
先生はおもむろに僕を抱え上げて机に座らせる
先生は背が高くて、僕はちびだから...
机に座らせてもらえば先生と目線が一緒になった
「先生...好き」
先生に見つめられると、勝手に言葉が出てきてしまう
「先生は...僕のこと...好き?」
先生の瞳の色がまた深くなっていく
力強い先生の腕を引き寄せて抱きついてみる
「好きだと言えば..困るのはお前なんだぞ?」
先生は僕の顔を胸に押し付けて聞く
先生の背中に手をまわして僕は答える
「困ったりしない...から...先生」
答えてほしい
受け止めてほしい
僕を特別に思ってほしい
「お前は...本当にバカだ...」
そう言って先生は僕を強く強く抱きしめた
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