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駄犬
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いつものベッドで寝ている風太の意識は眠りの中だったが、室温が冷たく感じられ、体を丸めた。スウェットを着用しタオルケットをかけていた筈だが、何故か腹と足が肌寒い。しかし耐えられない程のものではない、まだ眠くて仕方がない脳はそれを無視する。今日は土曜日で仕事が休みという事もあり、午後から人が訪ねてくる予定はあるが、朝はゆっくり寝て過ごすつもりだった。
さわ、さわ、さわと繊細な刷毛で太腿を撫でられる違和感と、気持ち良さに小さく息を吐いた。
「ん、」
頬を湿った何かが滑った。濡れた跡を拭い、ごろんと反対側へ寝返りを打つ。今度は無防備な脇から背中へと這い、ぞく、ぞく、ぞく、と肌が粟立つ。
「っ!」
さすがに風太は目蓋を開け、少し頭を持ち上げて上半身を捻り、自分の身体に目を向ける。スウェットはどこへ行ったのか。パンツは履いているものの、たくし上げられたTシャツの間からミルクティー色の頭が動き、乳首に吸い付いた。瞬時に状況を理解し半眼になる。
「…おい、吸い付くな。それに、何で脱がせてんだよ。」
ちゅく、ちゅく、吸いながら先端を舐められた。風太が起きた事に気付いただろうが、止める気配はない。初めての行為の時は何という事もなかった乳首から、甘い刺激を感じて腰が浮く。
「っぁ、ちょ!止めろって、っん、」
樹雨の目的が何となく、いや、はっきりと分かっているがそれは避けたい。先日、玄関で襲われてから、そういう行為は拒否していた。獣耳をぎゅっと押さえて実力行使で遠去けると、
「だって、風太が言ったのに。」
ムスッと樹雨は唇を尖らせる。
「…なんか言ったっけ?」
風太は心当たりを探ったが、朝からこんな行為をしたいと言った覚えが全くなかった。
「ええ?覚えてないの?風太の次の休み、すっごく楽しみにしてたんだよ。仕事がある日はセックスしないって言ったでしょ。」
確かに、明日は仕事だから駄目だという断り文句は毎晩言った。だからといって、休日の朝からOKだとは言ってない。
「何でそれでこうなるんだよっ。」
「風太ぁ、風太ぁ、もう我慢出来ないよぅ。」
ぱたぱたと、尻尾が忙しなくシーツを打つ。樹雨は太腿に鼻を寄せてキスをすると、足首を掴み、足裏をベロンと舐めた。
「うわ!」
ぞくっとし、ビクッと足の筋が動く。樹雨はその反応に目を細め、もう一度足裏を舐めた。狭いシングルベッドの上で、風太がのたうつ。
「くすぐったい!も、止めろ!」
捉えられた足首を取り戻そうともがく動きを利用して足を大きく広げると、樹雨はスンスンと風太のパンツの上から匂いを嗅ぎ、優しく微笑んだ。
「本当に止めていいの?ここから、いい匂いがする。発情してる?」
その言葉は図星で、カァーっと体温が一気に上がる。既に半立ちのものが、更にピクンと反応する。紅茶色の瞳の奥に欲情が見え、風太は怯えた。今の樹雨の嗅覚は普段よりも鋭い。
「待て、待て!いや…何ていうのか、朝だし、と、とにかく誤解だから!挿れるのは無し!」
風太はノンケだ。尻穴に挿れられる事を喜ぶ感覚はまだ習得して無いし、自らすすんでしたいと思っていない。ただ、樹雨の事は好きだし、半獣姿の耳と尻尾も気に入っている。耳を撫でたり、尻尾に顔を埋めてもふもふするのも最近の日課だった。互いに触り合い、感じ合い射精するだけで終了ならば大歓迎だと思っている。しかし、それでは相手が満足しそうもない事も察知していた。何せ相手は半分獣の、狼男だ。
「どうしても駄目?」
樹雨は首を傾げ、可愛らしく強請る表情。獣耳が少し伏せられ、何だか一層愛らしい。
「ゔ、」
好きな相手のおねだりに弱い。風太は午後からの約束だとか、この前の情事で二回も中出しされた事とか、色々と頭に浮かべて断り文句を忙しなく考えた。
樹雨の尻尾がゆら、ゆら、と低く空を切る。目付きも鋭く、タジタジの風太の瞳を見据えている。
「ねえ、もう待ては無理。時間切れ。」
その言葉を皮切りに、またもや風太は、三度目の深い交渉を無理矢理受け入れる事になった。
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