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増していく情
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一松視点
十四松は俺のことが好きだ。
理由は知らない。しかし、俺はカラ松のことが好きだ。十四松には悪いけど、俺のことは諦めてもらう他ない。だからと言って、俺の方からフるというのも気がひける。出来る限り、十四松を傷つけない方針でいきたい。俺は大して器用じゃないから、今は知らないふりをしているが、いつかは実の弟を拒絶しなくてはならない。それがどれだけ辛いことか。せめて、異性同士だったらマシだったかもしれない。
「あ、一松兄さん、ただいまー。また失敗しちゃったよ〜」
「いつものことじゃん。大したことないでしょ」
「もぉ、一松兄さんは〜……ホント、冷たいねぇ〜……」
トド松もそうだ。
散々合コンに行っているくせに、十四松のことを追いかけている。正直に言うと、そんな矛盾していることをやり続けて何の意味があるのだろうか。俺は不思議でたまらない。
「一松兄さんも、そのウンコ癖が直ったら、連れていってあげてもいいよ?」
「別に……そんなとこ行かなくても」
「だよね〜。一松兄さんはカラ松兄さんのこと好きだし、やっぱ必要ないよね〜」
「⁉︎」
トド松の言葉に驚きを隠せなかった。いや、俺だってこいつらの恋愛事情をしっているが、それはあからさまな行動を取っているからであって、俺なんて、いつもカラ松を殴り倒しているのにも関わらず、こいつは……
「な、なに言ってんの、トド松。男同士……ましてや実の兄弟に恋愛感情を抱いてる? こんなクズみたいな俺が? ……ははっやめてよ。いくらクズでも、そんなこと思ってないから」
「え? 僕ぅ、確かに一松兄さんはカラ松兄さんのこと好きっていったけどぉ、決して〝恋愛として〟なんて、一言もいってないよ〜ぉ?」
トド松は、ぶりっ子の手本とも言えるぐらいにあざとく、わざとらしくそう言った。
くそ、ドライモンスターめ……完全に勝ち組な顔をしてやがる……。
「まぁまぁ、そんな睨まないでよ。誰にも言わないからさぁ〜」
「……お前だって」
「ん?」
「お前だって、合コン合コンって言ってるくせして、十四松のこと追っかけてるじゃん。意味わかんないよ。そんなことしてると、そのうち誰かにとられるよ?」
俺が苛立ちに任せてそう言うと、トド松は一瞬キョトンとしてから、気味の悪い笑みを浮かべ、口を薄く開いた。
「あぁ、やっぱり? いやぁ、一松兄さん鋭いねぇ……さっすが。けど、一つだけ、足りてないよ」
「……どういうことだよ」
「さあ? そろそろわかるんじゃない? 時もだいぶ満ちてきたし……」
「……は?」
トド松は、「フフッ……理解する時を、楽しみにしててね」と言い残してその場を立ち去った。
くそ、嫌な気分だ……。末弟め、末恐ろしい奴だ……どう回避するか……はぁ、こんなこと考えるのも、面倒だ。
俺は、考えるのを放棄し、捨て寝をした。
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