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癒し
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ざわざわと揺れる、体育館。
ある日急に集められた全校生徒。
「いや僕何も知らないんだけど…」
若干名感じる鋭い視線はきっと、僕の噂を聞いて疑ってるか、信じてる人達だろうな。
何だろう何だろうとみんなはざわめくけれど、え、僕ほんと何……。
前の会長は「黙れ」とか言って一気に静かにできたんだろうけど……
あいにく僕にはそんな勇気もないし、まず黙れって何様ですか俺様ですか!
「静かにして下さい」
突然響く静かな、けれど反論を許さない声。
ステージに並んでいるのは僕以外の生徒会メンバー達。
んー、やっぱり紀田君達だったか。
と、どこか他人事のように考えてしまった。
いや待て、このタイミングって、僕のリコールもあるんじゃ。
僕はいいんだけど、家がヤバいかな。
「今日は新しい生徒会メンバーを紹介します」
「……」
いやだから聞いてないって!
まさか、まさかだよな。
「こちらへ、蓮」
名前を呼ばれた大原くんは堂々とステージ脇から出てくる。
でもいつものマリモオタクスタイルは変わらないわけで、生徒会メンバーを見たときの歓声とは逆、つまり悲鳴がわきおこる。
うっわ。
僕のせいだよねあれ!
絶対この前「大原くんは一般生徒だから授業には出なきゃいけない」的なこと言ったからなら大原くんを生徒会にすればいいとかいう結論になっちゃったんだよね!
「生徒会補佐を担当します、大原蓮です」
「よろしくな!」
1人脇で自分の世界を繰り広げている僕を他所に、挨拶を済ませる大原くん達。
なんとか我に帰り、これは関わらないでとは言われたけれど、話し合いが必要だと考える。
ふと、実と目が合った。
「大丈夫ですか」
そう言っているようで、笑顔を返す。
「大丈夫だよ」
と。
また何かあれば実に癒してもらおう、うん。
これで終わりです、と告げると同時に体育館を去っていく生徒。
さて、僕も行きますか。
実にあの日から6日振りくらいの再会。
凄く、凄く、憂鬱です。
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