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余計なこと
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「会長が、あなたに助けを求めたことがありましたか」
俺の質問に、委員長はゆっくりと顔を向けた。
「ねぇよ。一度もねぇよ!」
「えぇでしょうね。
でもそれは、あなただけですか?
俺だって、会長に助けを求められたことなんてない!」
今回、鈴原家へ乗り込んだ時に初めて聞いた「助けて」
それはとても小さくて、震えていた。
「自分勝手に解釈しないでくださいよ。
会長は仕事一人で頑張ってる時だって、他の生徒会の人からひどいことを言われたって、助けてはおろか、辛いなんて、一言も言ったことないじゃないですか!」
「っ、だが…」
「委員長はそれをわかって、あの双子を手伝いとして任せたんじゃないんですか。
会長が、1番親しみやすい相手選んだんじゃないんですか!」
あの時だって、と、続ける。
「体育祭の時だって、迷惑かけたくないからあんなこと言ったんですよ!」
「だが、兄貴には言ったんだ!
兄貴なら頼ったんだ!俺じゃない、兄貴だった」
「おいおい、誤解してるようだが、鈴原は俺を頼っちゃいねぇぞ。
俺は吐かせたんだ。強引にな。
お前はただ聞いただけだろ?
アイツは少し強引じゃねぇと吐かないぞ」
それに、と。
「お前が出て行った時、アイツ泣いてたしな」
その言葉に委員長はハッと顔をあげた。
「泣いて、た?」
本気で関わって欲しくなくて言ったことなら、泣く必要なんてない。
「苦しかったんじゃないですか。
委員長に、そういうことが」
「だが、あいつは俺に関係ないと言った…」
「もし頼ったら、あなたは助けたでしょうね。二ノ宮を使って」
それに、虐待されてるとしられたら、態度が変わるかもしれないと思ったのかもしれない。
委員長は、会長に頼って欲しかった。
会長は、迷惑をかけたくなかった、知られるのが怖かった。
2つの思いが生み出したすれ違い。
ただ、それだけ。
たとえそれでムカついたとしても、
委員長は少し、やりすぎた。
「会長、謹慎中って知らないで家に帰ってたんですよ」
「家って、でも…」
バッと、スースーとすぐ横のベットで寝ている会長を見た。
「あぁ。1週間、ずっと殴られてたそうだよ。それに、部屋には外から鍵がかかってたから、ほぼ監禁状態だろうな」
「だから、、ここに」
「はい。触られるのが怖いししかも、声が出ないときてます」
「おかげで傷の具合も見てやれねえ」
お、と何かに気づいた先生。
「今するか」
「「は?」」
「寝てる今、傷見とくか」
先生の考えを理解して、納得する。
それはいい案だと思った。
「どうしますか委員長」
「…いる」
部屋を出て行ってもいい、と遠まわしに言った。
それで本当に出て行ったらもう関わらせない気だったけど…
委員長の言葉に、少しだけ安堵の息が漏れた。
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