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出来ない相談1
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(葵語り)
挙式はレストランの近くにある教会で行われた。建物内のサイドに並んでいるステンドグラスからは太陽が燦々と入り、教会内を照らしている。全体的に白を基調とした明るい室内には、ほのかに花の香りがした。
まさに花嫁さんが歩くのに相応しいヴァージンロードだと思う。
俺と先生が着いた頃は、親族や親しい友達が殆ど集まっていた。
こんな厳かな場所に見るのも入るのも初めてで緊張する。
「葵君、こっちだよ。」
島田が呼ぶように手を振った。
島田の家族は新郎の悠生さんと2人だけなので、1番前の親族席に彗さんと座るみたいだ。
村瀬彗さんは、caféRを新郎で島田の兄、悠生さんと共同経営しており、主に昼間のカフェで店長をしている。夜のカフェバーでは悠生さんがマスターをしている。
スィーツを作るのに長けており、俺や先生の誕生日には必ず美味しいケーキを作ってくれた。そして、島田の恋人でもある。
今回の結婚を機に、2人は同棲を始めたらししい。近いうちに先生と遊びに行く予定だ。
俺たちは、島田達の後ろに座った。
落ち着かずにキョロキョロしていると、先生に笑われた。
「場慣れしろとは言わないけど、端からみたら変な人だよ。主役の2人を見守る感じでいいから、リラックスして。葵が緊張してるとか変なの。」
見えないように下の方で隠れて手をぎゅっと握られる。
「ほうら、落ち着いて。」
「うん。」
俺だけ違うテンションで恥ずかしくなる。先生が隣にいてくれて良かった。
こういう俺の小さな変化に、すぐ気付いてフォローしてくれる所が好きだったりする。
いつも気にかけてくれるから、安心して甘えてしまう。
「あっ、またこんなところで僕の葵君に触ってる。止めてよ。」
突然島田が振り向いて、身を乗り出してきた。繋いだ手を無理やりに解いて、先生を睨む。
「ここは神聖な場所なの。邪(よこしま)な考えの人は退席してください。変態エロ教師のくせに。」
「あのなあ。そんなこと一切考えてないけど。お前こそ煩いじゃないか。親族なら大人しく座っとけよ。」
「とにかく、僕の葵君に触らないで。」
あの……俺は島田のものではないと思うけど、この際そんなことは関係ないのかも。
「こらっ真理。ちゃんと前向いて。もう喧嘩しない。」
隣に座る彗さんが島田を低い声でたしなめた。しょうがなく前を向く島田に先生が小さく笑い、再び俺の手を握った。
相変わらず島田と先生は仲が悪い。
これは高校時代から変わるどころか益々酷くなっている気がする。
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