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暗転からの脱出6
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(葵語り)
松山が俺の後ろから居なくなり、後孔からモノが乱暴に抜かれた。そして、湯船の中で誰かに引き寄せられる。そう言えば、俺って上気せ易かったんだよな。頭がぼーっとして、くらくらと目眩がした。目の前には先生に似た人が俺を心配そうに覗き込んでいる。
できれば辛い時間は早く終わって欲しい。
「葵……」
これは夢なのかな。
聞き覚えがある愛しい声だ。
「………もしかして、先生……?」
確かめるように、ぎゅうっと抱く。
タバコといつもの匂いがした。
感触も俺の大好きな先生だ。
「遅くなってごめん……ごめんな。野田、後は頼んでいいか?葵の側に居てやりたい。」
バスタオルで包まれて、ふわりと抱き上げられる。
「いいけどさ、こいつ目覚めるの?重いからこのまま放置しとくけど、まだ勃ったままだし、キモいな。そうだ、何かに使えそうだから写真撮っとこう。動くと面倒だから縛っとくか。」
パシャリと携帯カメラのシャッター音が聞こえた。
「そのうち気がつくだろ。そしたら呼んでくれ。話がしたい。」
「分かった。葵君の側に出来るだけいてあげてよ。部屋に食事を運べないか聞いておくから。ったく、こんな高級な部屋で強姦とかマジで趣味が悪い。」
「ありがとう。恩に着るよ。」
朦朧としたまま俺は抱きかかえられ、室内へ戻りベッドへ降ろされた。
びしょ濡れだった髪や身体を丁寧に拭いてもらい、旅館の浴衣に着替える。
「どうしてここが分かったの?松山さんは?もう来ない?」
先生は隣に座り、髪を乾かしながら俺の携帯電話を拾った女の子達の話をしてくれた。
松山さんは先生が殴って失神させたらしく、今は野田さんが見張っている。
「今夜はもう遅いから、ここに泊まろうかと思う。野田が部屋を別に取ってくれたんだ。そこに移動するから、葵は何も気にしなくていいよ。お腹も空いたし、疲れたよな。あいつはもう来ないよ。葵には一切触れさせない。俺が守るから、いつもみたいに一緒に寝よう。」
俺が頷くと、先生が「いい子だ。」と言いながら、ふんわりと笑った。
部屋を移動し、重い体をベッドに横たえる。段々と意識がはっきりしてくると、されたことがリアルに蘇ってきた。情けなくて、悲しくて、涙が出てくる。怖かった。本当に恐怖で動けなかった。
男のくせに抵抗できなかった自分を責める。
責めても何も変わらないのに、それしか出来ない自分が歯痒く思った。悔しい。
めそめそと女々しく泣く俺に先生が手を握り、包み込むように前から抱く。
「葵は何にも悪くないよ。悪いのはあいつだ。痛いところはない?」
「……背中が……いたい。」
素直に答えると、先生が背中を確認した。
「内出血が酷いけど、どこかで打ったんじゃなくて吸われたのか……信じられない。他は嫌なことされなかったか?怒らないから言ってごらん。葵がされて嫌だったことを俺に教えて欲しい。1人で抱え込まないで、2人で共有しよう。俺の言ってること、わかる?」
優しい焦げ茶色の目がこちらに語りかける。先生の心臓の音がとくんとくん、とリズム良く伝わってきた。今の俺が安心できる唯一の場所だ。
「………あいつは、すぐ怒るから……怖くて。それで……気持ち悪くて吐きそうで、力が強いから、何しても敵わなかった。…………お風呂で……背後から、押さえつけ…られて……んぐっ…」
涙が溢れてきて、うまく喋れない。震えながら俺は口を開いた。
「無理矢理……挿れられた。怖くて、気持ち悪くて。ごめんなさい……ごめんなさい……もう、汚れちゃった。うぅ……せんせぇ……嫌だったよぉ。」
うわああん、と声を出して泣いた。泣いて泣いて涙に溶けてしまいたかった。
汚れた自分は先生には必要ない。
「汚れてなんかないよ。葵は何も変わってない。俺の葵だよ。辛かったな。大丈夫、大丈夫。葵は綺麗だよ。泣きたいだけ泣いていいから。くそっ、松山め。」
涙を手で拭いながら、先生の腕の中でキスを貰うと、唇が浄化された気がした。
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