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69事情と離婚
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「お待ちしておりました。伸之助さん」
翌晩も、見世を開けて直ぐに伸之助さんがやって来た。
けど────
「楓……すぐには葉月を呼ばなくていいから、ちょっと……」
✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆
「どうしたんですか?」
伸之助さんは見るからに元気が無く、何だか疲れたような顔をしていた。
まずは一番奥の座敷に通して、事情を聞いた。
「……実は、妻にここに来ていることが知られてしまってね……」
お、奥さんいたのか。いや、これだけ良い人なら居ない方がおかしいか…。
「妻は珠蘭屋をよく知らなくて、ちょっと、『そういう』場所だと思われてしまっていてね」
ハハッと、自嘲するように笑った。
あーまぁ、吉原とか遊郭っていったら、『そういう』場所だと思うよね。
実際俺も来た時は思ってたし。
「それで、今日、妻が来るんだが……」
「ええっ!?」
いや、女性客は確かにいるんだけど、またなんで!?
「妻は珠蘭屋を見た上で、離婚を決めるらしくて…」
「り、離婚の危機にまで!?それは駄目ですよ!!」
珠蘭屋がきっかけで離婚なんて…!!
そんなの絶対に駄目だろ!!!?
「で、でも、『そういう』場所出ないことを奥様にご理解頂ければ、離婚は免れるってことですか……?」
「そうなんだ。妻はあと一二時間かもすれば来ることになっている。そこで……」
伸之助さんは1度言葉を切り、申し訳なさそうな、覚悟を決めたような表情で─────
「葉月達に、妻が納得するもてなしをしてもらいたい」
お、奥さんが納得する……おもてなし……?
「……俺だけでは決められませんが、葉月さんと伊助さんにかけあってみます。」
俺だけでは『大丈夫』なんて言えない。
葉月さん達に協力を仰がなくていけないことは最優先事項だ。
「……申し訳ないね。珠蘭屋はいい所なのに……」
「気を落とさないでください。今すぐに相談してきます。ここで待っていてもらえますか?」
俺は無意識に、伸之助さんの手をぎゅっと握り、強く瞳で語った。
「っ……ありがとう……」
疲れていた伸之助さんの笑顔はいつも通りに戻りつつあった。
よし、そうと決まれば早速2人のところに行ってこよう!!
俺は伸之助さんを残して、伊助さんと葉月さんを探した。
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