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地下?
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「……ここは?」
いくら夜目が効くヴァンパイアと言っても、突然光が遮断されたら対応出来ない。
ゆっくりと時間をかけて慣れてきた瞳に映るそこは、牢獄のようだった。
天界の地下にこんな場所があるとは……。
地下……ていうのは勝手に俺がそう判断しただけだけど、多分落ちていっただけだからあながち間違いではないと思う。
耳を澄ませると微かに聞こえてくる声から、他に誰かがいることを推測する。
ただ、何を言ってるか分からない以上、迂闊に近づくのは危険。そこに何人いるのか、それが男なのか女なのかすら判明していないのだから。
それよりも早くこんなところを脱出しなければならない。ウリエラを、あの悪魔よりも残酷な神の元から連れ出さなければ。
また、記憶がなくなっているかもしれないけど。
自分の周囲を捜索してみても、何も無い。悲しいことに後ろは行き止まり。
つまりは声のする方へと向かうしかないということ。
周囲を完全に壁に囲まれた地下室は、音が反響する。自分の靴音もそうだが、相手方の声も然り。
右左と足を運んでいくうちに、声が明瞭になってきた。
「あっん、あッ!そこ!そこもっとついてぇ」
ぐちゅぐちゅという生々しい水音が、壁面も手伝って響く。
甲高い歓声は、女のそれ。
恐る恐る覗いて見ても、やはりそこには期待を裏切らない光景が広がっていた。
こんなところで一人……なわけもなく、番もいる。互いに求め合う2人は、まるで獣のようだった。
一刻も早く通り過ぎたい。
幸いにも彼らの注意はこちらには向いていない。
早く上へ、焦る俺は、足元に落ちていた金属に気が付かなかった。
カーン
金属音が響く。
これが地上だったら、そんなに気にならなかったのかもしれない。
でもご存知の通りこの地下の反響を舐めてはいけない。
やっべぇ
さすがの2人もこの音には気づいたらしく、行為は止まる。
その後ろを走ってすり抜けるも、道はひとつしかない。明るかったらすぐに見つかってしまうだろう。
「誰や、自分?」
聞こえてきた声を無視して探索を進める。どうせこの闇では見えないのだから。
探しても探しても、脱出の手がかりになるようなものは何も無い。
ここはあのふたりに聞いてみるべきか。
そう思って振り向いたところに存在した影。
「なんで無視するん?絶対分かっとったやろ、お兄さんも魔族みたいやしなぁ?」
さっき聞こえた男の声。
言葉は西の方の人間のように訛っていた。でも、こいつも人間じゃない。そう判断した理由は簡単に言って2つ。
一つはこの暗闇の中で、俺のあとをついてきたこと。
そして、頭に獣のような尖った耳がついていたこと。
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