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⑤
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「倉持センパイ……洋さん、お久し振りです」
違う大学で野球を続けている倉持に声を掛け、2人で ゆっくり飲み始めた。
そのまま二次会でも隣に座り、三次会でも一緒に飲んだ。
気がついたら2人きりで、お互いに何を話すでもなく、ただ黙々と焼酎の水割りを煽っていた。
グラスを持つ倉持の手に、ふと春市の目が引きつけられた。
降谷とは比べようもないが、骨ばって男らしい手をしていた。
思いの外 細い指に、降谷を思い起こし、胸がドキリ、と高鳴った。
(触れられたい………)
春市は、不意に こみ上げた衝動を抑えるのに必死だった。
降谷の代わりに、触れられたい、という欲望は、自分はサイテーな事を考えている、と制す春市の理性を、上回った。
「洋さん……」
グラスを置いた倉持の手に、春市は自分の手を重ねた。
酔っている、と思った。
酔いのせいにして、倉持を見つめた。熱い視線を送り、「飲み過ぎちゃいました……」と、倉持の肩に頭を乗せた。倉持が緊張したのが、分かった……。
やっばりダメか、女の子じゃないもんな、と
諦めかけた時、倉持に肩を抱かれた。
「送って行く……」
耳元で低く囁かれ、全身が ぞわり、と震えた。
本当に酔いが回った気がした。
あの時から、定期的に2人で連絡を取り合っては、抱き合っている。
今日は春市から誘った。
大学で、降谷と些細な事で口喧嘩になった。…とは言え、寡黙な降谷は主張も ろくにせずに、ふい、と口を つぐみ、そのまま春市と話しをしなかった。
ただ、自分が悪かった、という意思表示なのか、春市が憧れて止まない美しい手で、春市の頬をツン、と突いた。春市は、体中に電気が走ったように感じ熱を持て余した。
倉持の事が、頭に浮かんだ。
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