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シオンのエスコート④
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雅さんも、慌てたように言う。
「シオン君、私も皆も知っていたけど、誤解しないでね。偏見で見ている人は一人も居なかったわ。アシュリーが突然男の子を連れてきて、一ヶ月のレッスン数が減ったのだけど『あなた方がシオンを素人だと見下せるものなら見下してご覧なさいな。恋人の為に慣れないコンテストにエントリーして、食事もレッスンも全て受け入れる、彼の幸せなオーラは一ヶ月でもっと輝くわ。彼から学びなさい。そしてプロとして彼にも恥ずかしくないよう努力し、成長もないものは私が指導するに値しません。』って。実際、シオン君にアシュリーが指導をすることに文句を言う人は一人もいなかったの。むしろ私を含めて、皆がシオン君に励まされて、癒やされて頑張ってた。恋人はどんな男性か誰も知らなかったけど、アシュリーに頼める人なんで、余程のコネクションがあって…その、年配のあしながおじさん?みたいな事を想像している人もいたと思う…。私もチラとは考えたし。今日会って驚いたわ。シオン君も、心配になりそうなカッコイイ人よね。怒った顔すら綺麗なんだもの。品というより、他者をねじ伏せるような威圧感、まだ若いのにカリスマ性があるわ…」
「み、雅さん、あの人…俺の恋人ね…。」
「わわっ!違う、違うわよっ。そんな泣きそうな顔をしないで頂戴。私そんなに物欲しそうな顔をしたかしら。下品ねってアシュリーに叱られてしまうわ。違うのよ、本当に。シオン君のナイトがあんなに素敵だから、シオン君の幸せなオーラも澄んでいて上品なのかしらって。二人はお似合いよ。」
カリフさんはニコニコしながら、俺達のやり取りを聞いている。
ハミドが戻ってくると、俺の席に椅子をギリギリ近くぴったり寄るよう引きずって来て、俺をぎゅうっと抱き締めてから、少しは満足したのかドカッと座る。腕を組み、不機嫌な顔を崩さないまま、威嚇するように話し始めた。
「説明しろ。俺が納得したら、シオンへのお仕置きも少しは軽くなるかも知れない。」
「待て待て、俺が悪いみたいに言うな。雅さんをエスコートしただけだろー?」
ふんっと鼻を鳴らしながら忌々しげにハミドは言葉を続ける。
「ビジネスの場では女も一人で、パーティーには来れるものだ。あれは恋人をエスコートしているようにしか見えなかった!ドハはともかくシオンが女に気配りを見せるとは…俺にはその一片の優しさすら人と分けるのは惜しい。」
悔しそうなハミドをいっそ哀願を込めて見てしまった。
お前、本当に心が狭っ…。
カリフさんはカリフさんで、冷ややかで意地の悪い微笑みに口元を歪ませている。
「シオン、これでは無理でしょうかねぇ…紫さんのお店のモデルの件、今後も考えてお引き受けしようと思いましたがね。ハミドはいいと以前は言っていたのですよ?シオンがやりたいならと。」
この煽り方…。
ハミドが、益々激昂しちゃうよと頭を抱えた。
「カリフ、お前はどちらかというとアシュリーの時も最初は反対していただろうが。」
ハミドが目を見開いて噛み付くが、カリフさんはしれっとしている。突進してくる闘牛を華麗に捌く、闘牛士のようだ。見たことはないけど。
「そりゃ、あなたの自己満足の為に可愛いシオンが何故あそこまでやらされているのか同情したからですよ。でも、アシュリーの言葉を守って、未だに食事や嗜好品の好みを変えてまで…そういう話があるなら、応援したくなるではありませんか。大丈夫です、普段のシオンとは分からないよう、髪の色やカラーコンタクト、表情の角度等で撮影するよう指示をすれば可能ですし、私の管理でモデルの名前は伏せればミステリアスに映ることでしょう。大体、計算高いあなたの事ですから、来年の仕掛けに合うような学生モデルの原石を今のうちに確保しようと考えていたのではありませんか?シオンならば色々と便宜も図れます。」
カリフさんの中ではもう、決定事項でノリノリらしい。
ハミドはカリフさんの椅子をガッと蹴り、不機嫌を隠そうともしなかった。
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