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愛の天秤
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うっすらと目を開ければ大きな壁が写った。
すすっと視線を上に向けると誰かの鎖骨辺りで、壁だと思ったのは誰かの体だった。
「ん……??」
もう少し視線を上げるとカメリア様の寝顔。
確か自分は海水浴に参加していたはずなのに。
自分の服を確認すると、水着にパーカーではなく、白くて着心地の良い寝巻きだ。自分のではないがサイズはちょうど良い。
やけにぐっすり寝ているカメリア様にぎゅっと抱きついてみると、起きてしまったようだ。
「目が覚めたか?だが、まだ朝じゃない。寝ろ」
そういって再び寝てしまったカメリア様だが、僕の目はすっかり覚めてしまった。
水を飲もうとベッドから抜け出して、防御魔法のような膜から出るともわりとした熱気に身を包まれた。
真夏の気温だ。
少し我慢して、水を飲んでベッドへ戻ると、やはり膜の内側は快適だ。
ファルムを付けてカメリア様の隣に寝転がると、ぎゅっと抱き込まれた。
くんくんと嗅がれ、耳にキスされ、頬にキスされ、首筋にキスされ、酔ったような視線で見られながら、唇を唇で塞がれた。
「っ……ん……」
丁寧に舌で唇を割られ、歯を開かれ、奥に潜む舌を絡めとり、やんわりと撫でていく。
「んんっ……」
甘い……。味がとかじゃなくて、雰囲気が。
いつもの威圧的な空気じゃなくて、やんわりと包んで知るように、静かに、けれど明確に、僕を見てくる。
静かな空間が、ひどく居たたまれない。
「んっ……ぁ……」
ぎゅっと閉じていた目を開いてカメリア様を見ると、難しい顔をしていた。
「カメリア…様?……」
ぎゅうっと抱き締められて、カメリア様の鼓動がしっかりと伝わってくる。
「本当に、心配した……」
「え?……」
なにか、心配されるようなことをしただろうか?
海水浴で死にそうになったのは記憶にあるけれど。今ここにいるってことは誰かが治療してくれたのだろうし、なにかあったのだろうか。
「……覚えてないのか?」
「まったく心当たりが無いのですが」
「そうか……なら、今度は治癒魔法を教えよう」
「え……と、傷が直せれば問題ないのでは?」
「その傷すら直せない奴の反論はいらん」
「ひぇ……」
「お前はオレのものだからな。傷ひとつ赦さん」
「うう……」
「それに、ファルムの匂いがするということはオレに食われる覚悟があるのか」
「リアス様に海水浴中は付けても大丈夫だと……」
「つまりオレに食われても問題ないと?」
「っっ、ま、まだ……ダメです」
「覚悟はできているんだろう?」
「で、出来てないこともないですけどっ」
「けど?」
「婚姻前性交渉はいかがなものかと……」
「………………くくっ。あははっ、ははははっ!!そんな……ふふっ……あー、面白ぇ……くくっ。なるほど、そうか。まぁ、待ってやらんでもないけどな……そうか、そうか……ふふっ」
「わ、笑いすぎですっ」
「キスはいいのか?」
「き、キスはいいです」
「昨夜のは、いいのか?」
「た、たまになら、いいです」
「たまに、な……まぁ、ふふっ、いいだろう……たまにイタズラしてやるのも悪くないしな」
「い、イタズラってなんですか?」
「知りたいか?」
「し、知りたいです」
「じゃあ、婚姻前性交渉ってどこからどこまでなんだ?」
「そ、そりゃ、入れるのはダメですよ」
「前戯は?」
「前戯?」
「まぁ、昨夜みたいなやつ」
「あ、あれは……たまになら……いいって言ってます……」
「くくっ……OK。たまになら、な」
「なんで笑ってるんですか!!っもう……で、イタズラって?」
「言ったら面白くないだろう?」
「教えてくださいっ」
「オレの前で自慰ができたらな」
「で、出来るわけないじゃないですかっ!!」
「じゃ、おあずけ。早く寝ろ」
ぷくっと両頬を膨らませて、カメリア様の腕に収まる。
「明日はカメリア様が出るんですよね?」
「ああ。しっかり良く見ておけよ?」
「はい」
きっと、今日の僕みたいなどうしようもない戦い方ではなく余裕綽々で、相手を遊ぶように追い詰める戦いをするんだろうなぁ、と体験者の僕は思う。
「カメリア様も、怪我しちゃダメですよ……」
「誰に向かって言ってやがる?」
確かに。怪我の心配をしなくとも、彼なら当然無傷で戻ってくるだろう。
とろんと閉じる瞼の重さに従いながらすぅっと息を吸い込めば、大好きなカメリア様の匂いが入り込んできて、自然と笑みが零れた。
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