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反省と支え
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なんだか虚しくなってしまって、カメリア様の手を噛んだ。内頬が傷ついたって構わない。
サッと引っ込んだ手から逃れるように体を動かそうと思ったが、カメリア様は体重をかけてきて僕を逃がさなかった。
「逃げられると思うなよ」
「…………ひどいです…………。」
ボロボロと大粒の涙が頬を伝い、口に染みる。案じた通り傷ができたらしい。
「…………ひどい……」
「酷くて結構。オレは甘くない」
「ひどいです。カメリア様…………」
目が合った瞬間、カメリア様はベッドから降りてそのままどこかへ行ってしまった。
残された僕は、ひとりぐすぐすとベッドで泣いた。
コンコンとノックの音が聞えたが返事をする気力がなくて無視していると、ガチャリドアが開く。
「スアム??」
ベッドの上にいた僕を見つけたカロエは急いで駆け寄ってきた。
「スアム。姿が見えないから探しちゃったよ…………ってどうしたの?目が真っ赤なんだけど……」
「カロエ…………」
出た声は情けなくも掠れていて、僕は再び枕に顔を伏せた。
「どうしたの?どこか痛いの?」
「カメリア様が…………」
売り言葉に買い言葉。カメリア様とあったことを話すと、カロエは難しい顔をした。
「まあ、さっさと謝った方が迅速に解決できるんだけど」
「無、無理……。」
あんなに本気でキレられたのに素面で会って謝るなんて無理だ。
「ただでさえ気難しい御方なのに…………。なら、時間経ってから謝れば?」
「大丈夫かな?」
「大丈夫大丈夫。ほら、元気出して」
「うん…………」
しゅんとしていると、タキアさんが困ったような顔をして現れた。
「主人がスアム様に失礼を…」
頭を下げようとしたタキアさんに、ぴっと手のひらを向けて止めた。
「いいんです。売り言葉に買い言葉だったので。それにタキアさんに謝られても仕方ないですし」
「そうですね…。スアム様の言う通りです。主も今回少々反省しておられるようですし……」
「うん。僕から謝りに行くよ。心の準備が出来たら、だけど」
「本当に……主の伴侶がスアム様で良かったです」
「ぼ、僕まだ伴侶じゃないよっ」
永遠を誓ったから一応婚約者ではあるが、まだ隣に立てる人物でないことは自分が一番よく知っている。
僕の慌てぶりにクスクス笑ったタキアさんは、お好きな時に、といって部屋から去っていった。
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