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竹馬の友
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ふっと気配を感じて目を開けると、眩しいくらいの金髪に小麦色の肌をした青年がいた。
「………ディーラ」
「お、スアム。元気だっか?」
ガバッと飛び起きるとディーラは目を真ん丸くした。
「なんだよ。元気じゃん」
「………。今…何時?」
「何時って……ナルばあがクッキー焼く時間」
ナルばあは子供たちに人気のおばあちゃんで、おやつにクッキーをタダでくれるのだ。子供の時はすごくお世話になった。そのせいか、ナルばあの前では誰も頭が上がらない。
「よかった…そんなに経ってない」
「何か急ぎか?」
「いや、大丈夫」
へへっと笑って見せると、ディーラがこっちに手を伸ばしていて、僕に触れる前にバサッと大きな茶色い羽が僕の前で広がった。
「いってぇ!!」
ディーラの声にハッとして目の前に出てきたアデアを見ると、ディーラの指に噛みついていた。
「アデア、放せっ」
パッと放したアデアが、尚もディーラを睨み付けている。
「大丈夫?ディーラ」
急いで手を取り指を見るが、傷は見られなかった。
「大丈夫。驚いただけ……」
『ふん!噛まれたぐらいで声を上げるなんて男の風上にも置けねぇ情けねぇ奴だな!』
「アデア……」
『ふふんっ、どーだスアム。俺様のガードは完璧だろうっ』
胸を張る梟の頭にチョップを落とした。
ぐぇっと変な鳴き声が出て、パタリと倒れた。
「え、おい。大丈夫なのか?こいつ……」
ディーラにアデアの声は聞こえない。情けない奴だと言われていたことなど露ほど知らぬだろうが、僕は許さない。幼馴染みを悪く言われたのだ。これくらい躾の内に入る。
「大丈夫だよ」
「それにしても大きい立派な梟だなぁ」
さわさわと撫でられ、羽を広げられ、嘴を開けられているなど、気絶しているアデアが知ったら報復に飛びかかりそうだ。
「僕の使い魔。ごめん……怪我なくて良かった…」
「大丈夫大丈夫。なるほど。今はこいつが護衛なわけだ」
「護衛?」
「こっちの話。で?スアムは貴族様に認められて上の方行ったって話だけど、窓からお前が見えた時は驚いたよ」
「また屋根飛び回ってたの?」
「おう」
「僕は元気にやってるよ。今日は一旦帰ってきただけ。またすぐに王都に戻るよ」
「ふぅん。あ、そうそう。ヴィレイが結婚するんだと」
「ヴィレイが!?わあ!おめでとう!良かった!!」
ヴィレイとディーラと僕は幼馴染みで、よく悪戯したり、互いの家の仕事を手伝ったりと、喧嘩もよくしたけど仲良しだった。
「相手は?美人?」
「おう。そりゃスゲー美人だよ。何だって相手はエシアだからな!!」
これまたすごい人物がお相手だ。鍛冶屋の娘のエシア。すごく美人で有名だが毒舌でクールなので近寄りがたい。けれどずっと見ていたくなるような魅力がある。
そんな彼女が格好つけたがりのヴィレイと結婚だなんて、なんだか面白い話が聞けそうだ。
自分がいない間に二転三転していることに少し寂しさを覚えるが、変化の話はとても好きだ。
『ハッ!!』
ようやく起きたのか、アデアがむくりと起き上がる。サッサッと乱れた羽を整え、僕とディーラを見ると、ディーラを威嚇しながら、僕にディーラを部屋から追い出せと言い張る。
「なんで…アデアっ。ディーラは僕の幼馴染みだよ」
『知るかよ。そんなこと俺様はどうでもいいんだよ!それより早くこいつを部屋から出せ』
「………アデア。また気絶させられたいの?」
先ほどはチョップで済ませたが、今度は拳でいこうか…。
『ったく、話が通じねぇ……』
ぼふっと人型になったアデアがディーラの首根っこをつかむ。
人型になったアデアをみて、驚くディーラ。
「理由くらい教えてってば」
「だから、こんなちっさい部屋にお前と…俺様もこの姿だと怒られるけど…こいつがいると、俺様が怒られるんだよ!!」
「誰に?」
「それは……その……、…た、……タキアに…」
「なんでタキアさんに?」
「アイツの仕事がカメリアの野郎の管理だからだろ!」
「ほう?オレの管理がタキアだと?勘違いするな。オレが指示していることをタキアがこなしているだけだ。それより、仕事のできない奴は焼き鳥にでもされたいみたいだな?」
聞き心地のよいカメリア様の声に、気分がふわふわと心地よい。
「はぁ!?接触は防いだっつの!!」
「そのあとはスアムの膝の上で昼寝していただろう。さぞかし幸せだっただろうな」
「気絶させられてたんだよ!!」
「使えない馬鹿鳥はいらん」
「くそっ!!言いたいこと言いやがって」
アデアに捕まれたままのディーラが、挙手をする。
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