アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
トラ先生の悪夢②
-
ぼくはトラ先生の好きなゴールデンデリシャスを剥いて食べさせながら、説得を続けました。
鼻をかんでもらってから、ぼくが差し出すリンゴをしゃくり上げながらも齧りシャリシャリ咀嚼される。
「うっうっ…るうちゃんが行ってしまったら、あたし何にも食べないから!」
今度はハンガーストライキで脅してこられる。
ぼくは以前にもトラ先生にこれをされている。(…実のところ、おつき合いするきっかけになった事件でもあります。)
ぼくはふぅっと息を吐いてから空いている方の手をトラ先生に重ねて、きちんと目を見て話す。
「トラ先生、ぼくを悲しませたいのですか?後を追いますよ?」
「うう~っ、るうちゃんこそっ、あたしを悲しませてるのよっ!!」
トラ先生はぎゅっと目を瞑り、ひぃぃっくとしゃくり上げられる。
ぼくはトラ先生の背中をゆっくりさすりながら、尚も続ける。
「トラ先生、いずれ、…さ来年にぼくは高校を卒業して海外の大学に進学します。いまのように会えなくなる日が必ず来ます。なので、良い予行練習だと思いませんか?
それに、ぼくはこれからも在学中に定期考査の免除制度を利用してショートホームステイや交換留学を予定しています。」
実際ぼくの学校は特待生の優遇が手厚くて、自分の努力次第でかなり楽しいスクールライフを送ることが出来る。その分優遇資格を得るのに難関があるけれど、ハイレベルでも挑戦のし甲斐がある。
が、しかし、これが不味かったみたいでトラ先生は真っ青になってブルブルと震え
「…ゔゔゔゔ、」
地獄の底のようなうめき声を喉から出されると再び顔を涙と鼻水で決壊される。
「なんでっ、そんな意地悪言うのっ?るうちゃんが悪い子になったわっ!!あたしのるうちゃんが悪魔になってしまったわあ〜っ!!」
トラ先生は身も世もなくその場に泣き崩れる。
そして枕に顔をうめて号泣しながらもぶつぶつと独言を呟かれはじめました。
「…これは夢よ、怖ろしい夢なんだわ。目が覚めたらいつも通りるうちゃんは何処にも行かなくてあたしの隣で笑っているのよ。…そうよ、そうに決まってる。落ち着くのよ、児虎。早く夢から覚めるのよ!」
被害妄想と現実逃避と変態発言と、先ほどから持てるものすべてを総動員してトラ先生はぼくを困らせる。
でも、トラ先生だっておとなの人間なのでここは一人で頭を冷やしてもらうことにする。
ぼくは明日また話しましょう、と言い残してトラ先生の家をあとにしました。
「絶対に行かせるもんですか…」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
57 / 87