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トラ先生の診察④
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どうせ、ろくなことは言ってこないであろうと予想はしていましたけれど。
夜ごはんを食べ終え、後片付けを済ましてソファーで寛いでいると、トラ先生が先ほどの用件を話すべく、瞳をきらきら耀かせてずいっと迫ってきました。
「それでねっ、今日来た女の子が急性咽喉炎でお薬を飲ませてもちっとも熱が下がらないって、お母さんが相談されてね。」
隣り合って腰かけたトラ先生はぼくと指を絡ませた手を自分の膝において、握ったり擦ったりと愛撫をしながら
「飲み薬は飲み込むのも痛がるしで、…だから座薬を処方してあげたのよ。
調剤師からも説明してもらえるけれど、一応あたしからも座薬の扱い方を教えてあげて…それでねっ、説明してるうちにあたしもしたいって思っちゃったの」
一旦言葉をきり、さらに瞳を熱く耀かせてトラ先生はぼくを見つめてきました。
ぼくはソファーに移動する前に、気持ちを落ち着け切り替えてもらおうと、カモミールティーを煎れ、かけていた音楽をBlue Noteの『レキシントン アヴェニュー』から『Return To Innocence』が収録されたエニグマのアルバム、『ザ・クロス・オブ・チェンジズ』にかえていたのだけれど、全く効果がないようです。
いっそのこと、ラウル バルボッサやダニエル コランのアコーディオン演奏を流して、フランス映画『アメリ』の世界の様な微笑ましくて純粋な雰囲気を作るべきだったろうか…。
先を促すように、ぼくは空いている手でカップを持ち、カモミールティーを口に運びながらトラ先生をじっと見ました。
トラ先生はぎゅっと手を握りしめ
「るうちゃんっ、ひどい風邪をひいてくれない?」
はぁ………
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