アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
何で?
-
残りの薬草を集めて戻ろうとするが足が止まった。歩こうとするが、まるで根が張ったように動かない。
「どうしたの?」
「……分からない、ハハ……」
本当は分かってる。このまま帰ってアルと兎がまだ一緒にいたら嫌だと、見たくないと思ってる。
「オレには何でも言って、ね?」
「……怖い」
「何が?」
「兎とアルが……」
アルは何で兎と一緒にいたの? 俺が兎のこと苦手なの知ってるよね? 兎が俺を嫌ってるの知ってるよね?
「んー……。抱っこしていい?」
返事をする前に脇の下と膝裏に手を入れられ持ち上げられた。
「ス、スノウ!?」
「ラピヌさんはオレが蹴散らすよ。アルジェント様には思い知らせよ?」
何をするつもりなの?
「ちゃんと掴まって。落ちちゃうよ」
獣人に力で敵うわけないので、大人しく言うことを聞いて腕をスノウの首に回す。
「軽いけど、ちゃんと食べてる?」
「今は食べれてる。そのうち戻るから」
「何かあったんだね。痩せた理由」
奴隷商にいたなんて言いたくないし、思い出したくもない。ただ、頷くだけで答えた。
「オレたちが最後みたいだね」
視線を前に移すと、魔馬のところに皆がいるのが見える。向こうも俺たちに気が付いたみたいで、アルが大股でこちらに向かってくる。
その腕には兎がぶら下がっていた。
何で!? ずっと、一緒だったの?
スノウの首に回してる腕に力が自然とこもる。
「キリ! ……お前、誰だ!?」
「オレはスノウ・アルシアと申します。アルジェント殿下」
「ぐぇ……」
アルが怒ってるのが空気で分かる。ピリピリしたものが感じた。
それでもスノウから離れることは出来ない。
カエルが潰れたような声がして気になるけど、それを確認することすら嫌だった。
「おい!? 何をしてる?」
「その言葉、そのままお返しします」
「ぐわっ……」
2度目の潰れたような声が気になり、少しだけ顔を向けてみる。
兎が地面で蹲っていた。立ち上がろうとする兎をスノウが蹴っている。
本当に蹴っていたのか。
「弱い者を本能的に守ろうするは分からなくもないけど、運命の番を放置してどうするのですか」
そんな本質があるんだ……。
ギルドで兎を脅してたけど、あれは口だけってこと?
「お前に何の権利があって口を挟む?」
「オレ、貴方と同じキリの運命の番ですから。しかも、エンシェントドラゴンさえ認めるほど相性がいいみたいです」
いつかはアルに言わないといけないと思ってたけど、ここで言っちゃうか。
「……キリ、本当か?」
顔をスノウの肩に埋めたまま頷いて肯定する。
「アル様ぁ、ビッチは放っておいて僕と、ぐぎゃ……」
「おい、やめろ! キリ、こっちこい!」
アルの傍に行く? 今は無理……
首をふるふる左右に振って拒絶を示した。
「キリ!?」
「今のアルジェント殿下にキリの番を名乗る資格はありません。一晩、頭を冷やしてください」
そう言い捨てて、スノウはアルの横を通り過ぎる。その時、真下から「んぎゃあ」と悲鳴が聞こえた。兎を踏み付けたみたいだ。
【無慈悲な夜】の臨時メンバー?に自分のテントを教わると、そこに向かった。そして中に入る前に、アルに伝える。
「ちゃんと番になるまでは手を出しませんのでご心配なく」
アルや兎、他の人たちも何か言っていたけど、全て無視してテントの中に入った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
24 / 28